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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史 : 和平への道程

2 和平への道程
イスラエルとパレスチナとの和平に進展があるのだろうか。
◇もう一度、目をガザに向けてみます。
パレスチナ自治政府は、穏健派の「ファタハ」が主導権を握っていましたが、これに反発するイスラエル原理主義組織「ハマス」がガザ地区で勢力を伸ばし、2007年6月に、ファタハと銃撃戦を繰り広げ、ガザ地区を武力で制圧しました。ハマスはイスラエルとの和平には消極的で、ガザ地区からイスラエル側に向かって、しばしばロケット弾を発射するため、これがイスラエルの住宅街に落ちて死傷者が出ました。

◇これに怒ったイスラエルは、ハマスがガザを制圧して以来、ガザ封じ込め作戦に出ました。ガザとの検問所を封鎖し、人の移動や物資の輸送も制限してきました。このためガザ地区では物資が不足し、停電も発生。病院では医療器具や薬品も不足し、住民の生活は困窮してしまいました。
そこで、(2008年1月)隣国エジプトとの国境の「壁を爆破」(全長約12キロにわたる金属製の壁のうち、3分の2が破壊。爆発の後、ブルドーザーが壁をなぎ倒した)し、数万人の人々がエジプトに買い物に出かけました。
  
◇これによってイスラエルのガザ封鎖は失敗しました。  
イスラエルは妥協策に転じ、ハマスと交渉。
2008年6月停戦が実現しました。ハマスはイスラエルへのロケット弾攻撃を中止。イスラエルはガザの封鎖を解除しました。当時は、これでイスラエルとパレスチナとの共存につながるのか注目されました。
6ヵ月間、互いに攻撃を停止し、経済封鎖を段階的に解除するという内容でした。



◇しかし、全世界注目の中、その期待は見事に裏切られました。 
昨年11月4日、イスラエルが、停戦を破ってガザ地区に侵攻し、これに対してハマスもロケット弾などで反撃しました。  
イスラエルがいうには、ハマスが、ガザからイスラエルに侵入するため、秘密に掘ったトンネルを破壊するためであって、停戦を破棄するつもりはかったと説明しています。f0020352_1131016.jpgこの当時、12月に期限を迎える「停戦」を継続できるのか大いに危ぶまれました。案の定、停線期限が切れた直後から、ハマスが攻撃を再開し、12月27日のイスラエルによる大規模空爆となりました。                           (写真)12月31日、パレスチナ自治区ガザ南部で、破壊されたトンネル →

◇今回の事態は、2006年7月、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘と共通点があります。
・ 「国 対 武装組織」の戦闘であること
・ イスラエルの軍事攻撃によって、一般住民を含む大勢の死傷者がでていること
・ 武装組織側が ”ロケット弾” を使った攻撃を行っていること
・ レバノン政府とパレスチナ暫定自治政府が、事態を収拾する当事者能力を失っていること
などです。

◇それでは、なぜ、今 ”この時期” に、イスラエルとハマスの過激な戦闘が起きたのでしょうか。
その主な要因は3つあります。
(1) イスラエルの総選挙が近々実施されること                              2月10日に予定されているイスラエルの総選挙が大きく影響しています。
建国(昨年5月、建国60年を迎えた)以来、相次ぐ戦争を経験したイスラエルでは、常に、「国防」が最大の政治課題でした。敵に対し弱腰とみなされた指導者や政党は、まず選挙で勝てないといわれています。
選挙は中東和平推進派の与党「カディマ」や「労働党」と和平消極派の「リクード」などが争う構図となっています。世論調査では、与党が、野党に大きくリードされています。
野党「リクード」・・・・ネタニヤフ党首は「パレスチナとの和平を推進した結果、ガザはテロ攻撃の拠点となった」と与党を強く批判。
与党「カディマ」・・・・リブニ党首らは選挙前の支持急落を恐れ、ハマスに対する強硬姿勢を国民に示す必要に迫られているのです。

(2)アメリカの政権交代が間近に迫っていること                               イスラエルを後押ししてきた米国が、オバマ次期大統領への政権移行期(1月20日)であることも、作戦実施の好機と映ったようです。
退任間近のブッシュ大統領の動きは鈍く、オバマ氏も現時点では踏み込んだ発言を避けています。イスラエルにとって、ブッシュ政権は、自らの立場を最も良く理解してくれた政権でした。
今回のイスラエルの軍事行動についても、「自国民を守るために必要な行動だ」として、いっさい批判していません。
イスラエル側としては、政権が交代し、オバマ政権になると、ハマスを「テロ組織」として排除してきた政策も変化するのではないかと懸念しているのです。それだけに、アメリカの政権交代前に、ハマスの軍事力をできるだけたたいて、弱体化させておきたい思惑があるのではないでしょうか。

(3)パレスチナの分裂状態が依然として解消されないこと                        最後に「パレスチナの内部分裂」ですが、前項でも触れましたので簡単に書きます。
ガザ地区に誕生したイスラム原理主義組織ハマスは、イスラエルとの和平を拒み、武装闘争を続けてきましたが、3年前の「自治評議会選挙」で圧勝して、過半数の議席を獲得し、2007年6月には、ガザ地区を武力で制圧し、それ以来、実効支配してきました。
パレスチナ暫定自治政府の大統領にあたるアッバス議長は、ガザ地区の支配権を失い、ヨルダン川西岸地区だけを統治する「分裂状態」が続いています。
アッバス議長は、ハマスの行動をコントロールすることが全くできなくなっています。

◇和平への道程                                                いろいろな提案がなされているのでしょうが、まず、イスラエルとハマスの間の「停戦」を、できるだけ早く実現することではないでしょうか。
先日、イスラエルとも外交関係があるエジプトが仲介案を提示しましたがその後進展がありません。
一方、安保理も「即時かつ永続的停戦を求める」と明記した決議をしましたが、この決議を双方が無視し、ともに攻撃を継続しているのが今朝までの状況です。

イスラエルとパレスチナの問題では、この他にもヨルダン川西岸地区においてイスラエルが維持する「入植地」の問題もあります。
イスラエルとの境界には「分離壁」が大きく立ちはだかっています。

和平への交渉過程では、お互いが相応の妥協をしなければならない場面も予想されますが、まず「停戦」しなければ先には進めないのでしょう。

ただ、
パレスチナ側にはイスラエルとの交渉の窓口となる人物がいません。
一方のイスラエルでも現首相のオルメルト氏は汚職が原因で退任を余儀なくされています。

「和平の道程」はまだまだ遠いとえます。
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by m-morio | 2009-01-10 11:19 | 市民カレッジ | Comments(0)