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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史 : 天然ガスを巡るウクライナ・ロシア

今、毎日の新聞紙上を賑わしているのが、イスラエル・ハマス問題 と ウクライナ・ロシア間の天然ガス問題ではないでしょうか。
前回は、イスラエル・パレスチナ問題に触れましたので、今回はウクライナに注目してみます。ウクライナの国内事情などについては「ウクライナとロシア ~宿命の対決~」で触れました。この両国は元同邦といいながら、その関係は上手くいっていません。
いつものように、新聞報道を拾い読みしながら現状を整理してみます。 

◇ウクライナ  
ウクライナは、1991年8月、ソ連から独立。
2005年1月に発足したユーシェンコ政権は、欧州連合(EU)加盟を掲げ、NATOに傾斜し、ロシア離れが進みつつあります。人口約4800万人の約8割をウクライナ人が占めていますが、東部を中心にロシア系も多く居住しています。そして、クリミア半島のセバストポリには、ロシア黒海艦隊基地がある・・・という複雑な現状にあります。
注)黒海艦隊・・・・・ウクライナ南部クリミア半島にある海港都市セバストポリに旧ソ連の黒海艦隊の司令部がある。
ソ連崩壊とともにウクライナは独立。黒海艦隊はロシア軍に帰属したため、ウクライナにロシア軍の基地が存在するようになった。両国の関係が良好だった時代は、何の問題もなかったが、ウクライナが反ロシア色を強めたこともあって、その帰属問題をめぐって両国間の交渉が難航。ロシアがウクライナに基地使用料を支払い、同港を賃借することで合意した。しかし、その期限は2017年。





◇争点  
その争点は、ガスの価格、代金の未払い、政治的争いです。
ことの発端は、両国間の天然ガス問題。ウクライナはロシアからガスを購入していますが、これまでは、ロシアは旧ソ連構成国だったウクライナ向けのガス価格を、欧州向けよりも割安な価格に抑えてきました(半値以下といわれています)。
しかし、ここ数年、ウクライナからの料金未払いや価格設定をめぐり対立を繰り返し、ロシア側は「2009年から価格を前年比二倍にする」と通告し、昨年10月に「今後3年間で段階的に値上げし、欧州向けの価格水準まで引上げる」ことで基本合意しました。
注) ロシアのメドベージェフ大統領は、1月12日ウクライナのユーシェンコ大統領との電話会談でこの基本合意を破棄し、一気に値上げすると強調したと伝えられている。

一方で、ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムは、ウクライナ側が滞納しているガス代金を年内(2008年)に完済しなければ、1月1日からガス供給を止める(ガス供給契約の期限切れが12月31日)と再三警告していました。
その過程では、ガスプロム側は、ロシアがウクライナに支払っている欧州向けガスのパイプライン通過料を前払いし、返済に充てる・・・という秘策を提案しましたが、金融危機で打撃を被ったウクライナは、約20億ドル(約1800億円)とされる債務の年内完済は不可能と主張。
翌年のガス供給契約も更新されないまま年越しとなり、ついにロシアはガス供給停止という実力行使に出ました。

◇欧州への影響  
この供給停止大きな打撃を受けているのが欧州諸国です。
理由は、ロシアから同じパイプラインでウクライナ、それから欧州にもガスが供給されているためで、その量は、欧州のガスの全消費量の20パーセントにあたるといわれています。
欧州は、当初左程深刻な影響は出ないと思っていました。というのは、「ロシア」は天然ガスの「安定供給」を、「ウクライナ」はウクライナ領内のパイプラインを使っての「ガスの輸送」を保障するとそれぞれ欧州に約束していたからです。
しかし、ブルガリア、ギリシャなど南欧州からドイツ、フランスなど欧州全域18カ国でロシアからのガスが滞る事態となってしまいました。
「ロシア」はウクライナがパイプラインを閉鎖したと非難し、「ウクライナ」はロシアがガスを止めたと非難していて、現実には欧州との約束は破られ、欧州のガスの大動脈が事実上閉鎖されてしまいました。生産国としての「ロシア」、通過国としての「ウクライナ」に対する信用が大幅に低下しています。
主な欧州諸国のロシア産天然ガス依存度(2007年) 09.01.14 道新
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ロシアなどから欧州への天然ガスパイプライン 09.01.03 朝日 (パイプラインは 主なもののみ)
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◇政治的な争い   
ウクライナがEU加盟、NATO加盟を目指す中、ロシアとウクライナ両国関係が、冷却化したことなど政治が大きく影響しています。
ウクライナではユーシェンコ大統領がNATO加盟などを目指し、親欧米路線を続けていますが、支持率が低迷しています。
ロシア側には親欧米路線のユーシェンコ大統領の政権基盤をさらに崩したい、ユーシェンコ大統領にはロシアとの対立を煽ることで支持率を回復したいと言う思惑がそれぞれあるようです。
昨年8月にロシアが軍事侵攻した黒海沿いのグルジアも、ウクライナと共同歩調をとっているということも見逃せません。
ロシア側は、こうした親欧米路線に対抗して資源外交で圧力をかける狙いがあるように思われます。

◇日本も傍観できません    
サハリン沖で日本企業が参加して石油や天然ガスの開発事業が進められてきました。日本は既に、サハリンから大量の原油やガスを輸入しています。その供給が突然停止となれば、産業活動に多大な支障が出ることになります。危機管理は、エネルギー源の多様化や備蓄、技術開発などにも意を注がねばならないということのようです。

EUの調停で両国の交渉が再開されましたが事態は進展しません。
供給の再開を約束はしましたが、
一方は「欧州向けの供給を13日再開した」といい、
他方は「15日になっても欧州に届かない」
という(供給開始から欧州各国までの到達には3日程度を要すると言われている)。
双方が「ウクライナが止めている」「ロシアが少量のガスしか流していない」と主張し泥沼化の様相を呈してきました。
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by m-morio | 2009-01-18 14:15 | 市民カレッジ | Comments(0)