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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り現代史 中東和平

カレッジの後始末をしなければならないのだが、なかなか進まない。
イランとイラクが残っている。
それまでのツナギ・・・を。

「中東和平」という活字を頻繁に新聞紙上で目にする。
また、このブログでも再三使っている。整理しておこう。

 最近の話題として、イスラエルで右派中心のネタニヤフ政権が誕生した。
報道では、この結果を踏まえて「中東の和平交渉は停滞」すると報じている。

では、「中東和平」とは、どういうことなのか。

まず、「中東」とは・・・ということについては過日位置的な話を書いた。
この中東にどこの国を含めるかは学者・評論家がそれぞれの理屈で分類している。

それはさておき、中東というのは、ヨーロッパから見た言い方。受け売り現代史 中東和平_f0020352_1158465.jpg
図に示した通り、日本は右端(東側)に位置していて「極東」の範囲に分けられる。
ヨーロッパに近い東方が近東で、中東はその東側になる。

この中東にユダヤ人が作った「イスラエル」がある。第二次世界大戦後の1948年に誕生した。→右の地図をご参照。緑色の部分がヨルダン川西岸とガザ地区。受け売り現代史 中東和平_f0020352_1159556.gif
イスラエルを作ったユダヤ人は、2500年以上前に、この辺りに王国を築いていたが、国が滅びて世界各地に分散してしまう。
多くはヨーロッパに移住するが、各地で迫害を受ける。
特に第二次大戦中には、ドイツで600万人のユダヤ人が殺された。
ユダヤ人は、このような迫害を受けるのは、我々が国を持たないからだとの考えるようになり、国づくり運動を始めたのである。
ユダヤ教の「旧約聖書」に、神がユダヤ人に土地を与えると書いてあり、ユダヤ人はその土地を「約束の地」と呼んでいるのだが、ここが、その後パレスチナと呼ばれるようになり、今のイスラエルになる。

このような背景があって、第二次世界大戦が終わると、世界中から大勢のユダヤ人がここに移り住んできた。

しかし、戻ってみると、既にアラブ人が住んでいた。
ユダヤ人が去った後に、アラブ人が住み着いたのだ。
ここに突然イスラエルという国ができたために、アラブ側はイスラエルに攻め込み戦争になった。
いわゆる中東戦争である。
イスラエルは周辺のアラブ諸国と交戦し、ヨルダン川西岸やガザ地区を占領する。
受け売り現代史 中東和平_f0020352_1202745.jpg
この地図は、イスラエル(赤)を取り巻くアラブ諸国(緑)を色分けした。必ずしも100%アラブ人とは言えない国もある。スーダンはほぼ40%程度である。なお、トルコはトルコ人、イランはペルシャ人が主の多民族国家。更に付け加えると、中東の世界はイスラエルを除けばイスラムという枠組みで結ばれた世界といえる。
しかし、90年代、占領地をパレスチナ人に返還し、そこにパレスチナ国家を樹立して和平を実現しようという機運が高まった。
93年にパレスチナの暫定自治を認める「オスロ合意」が成立。
これを機に、二国家共存を目指すイスラエルとパレスチナ自治府の交渉が始まった。
2000年には一度決裂。
聖地エルサレムの帰属問題、国境画定など、具体的な課題に入ると両者とも譲らない。
総論賛成、各論反対の図式である。

イスラエルを認めないイスラム過激派はテロ攻撃をするし、これに対抗してイスラエルは西岸地区を囲む「分離壁」を設け、パレスチナ人の移動を制限した。合意を無視した実力行使によって亀裂は深まった。

 米国はイスラエルを支援しているが、和平を推進する立場でもある。
ブッシュ前大統領は決裂していた交渉を07年に再開させた(覚書を交わした)。
オバマ大統領も就任早々、積極関与を打ち出した。
注)覚書には「イスラエルのオルメルト前首相やアッパス自治政府議長が出席した米国での国際会議で発表され、二国家共存の必要性や、イスラエルによる入植地建設の凍結を明記している。

周辺のアラブ諸国は、パレスチナ国家が実現すればイスラエルとの和平に応じる姿勢を示しているので、中東全体の安定につながる可能性もある。

ところが、過日のネタニヤフ政権発足の様子から推して、事は簡単には進みそうも無い気配である。
ネタニヤフ首相(パレスチナやアラブに対する「強硬派」)は「現時点で占領地=入植地をバレスチナに譲ったら、イスラム過激派のテロ活動の拠点となる」と主張している。
新任のリーベルマン外相(「わが家イスラエル」の党首。この党は、90年代旧ソビエトから大量に移住してきたユダヤ系の移民を中心に結成された「極右政党」)は、「覚書を順守する必要なし」と合意を無視する構えである。

さらに、外相就任直後の記者会見では、
「譲歩すれば平和になると考えるのは間違いだ。譲歩は戦争につながる。」と述べている。

その背景にはガザ地区の例がある。
05年にイスラエルが撤退した後、ガザ地区はイスラム原理主義組織ハマスに支配され、イスラエル領へのロケット攻撃が活発になったからである。
昨年末のハマスを狙ったイスラエルの軍事作戦は、ガザ地区の住民のイスラエルに対する憎悪を募らせ、応戦したハマスへの支持を強めた。

前述のように、強硬姿勢の人物が外相を務める政権が、アラブ側との和平交渉を進めることができるはずはないという懸念が広がっている。
by m-morio | 2009-04-05 12:14 | 市民カレッジ

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