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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

ウイグル族

じいじ: たっくん、 じいじ が お隣の「中国」のことをもっと知りたい・・・といつも言っているのを覚えているよね。
この国は土地も広いし、人口は世界一だし、多くの民族が住んでいることでも知られているね。
先日、「クルド民族」のことを書いたので、もう少し「民族」について考えてみよう。

たっくん: 中国には「55の少数民族」が住んでいるんだよね
じいじ: そうだね。よく覚えているね。中国の人口は13億人を越えているから、少数民族の比率は8%程度なんだ。ウイグル族840万人、チベット族540万人程度だね。少し古いので、いまはもう少し増えているかも・・・。
その少数民族の中でも、「チベット族」のことは以前に触れたことがあるので、今日は、「ウイグル族」のお話をしよう。





じいじ: 09年7月に、中国の新疆ウイグル自治区で暴動が起きました。

たっくん: うん、じいじ が言っていたね。どんな暴動なの?
じいじ: きっかけは、6月下旬に広東省の玩具工場でウイグル族労働者が漢民族に襲われ多くの死傷者が出たことなんだ。
これに抗議してウイグル自治区内での暴動が起き、さらに漢族がウイグル族を襲うなどしたため、民族どうしの対立が激しくなってしまったんだ。

これまでもウイグル族やチベット族が関係した争いは沢山あるけれども、今回のように「ウイグル族」と「漢族」に分かれて暴力で対立することは珍しいんだ。
多くの場合は、ウイグル族等対政府(警察や軍隊)の対立だったからね。
このように今の中国では、一部の民族が感情的になると、一気に不満が爆発する危険な状況にあるということだろうね。

たっくん: ねえ、「自治区」ってなに?
じいじ: 中国の政府は「少数民族の権利を守るため」という理由で、少数民族の住む地域を決めて「自治区」と呼んだんだ。   赤い部分が「新疆ウイグル自治区」f0020352_191887.gif
そこに住む民族が、自分たちで政治ができるように、という考えからだよ。
自治区の一番偉い人は、地元の少数民族で、ウイグル自治区ならウイグル人、チベット自治区ならチベット人という具合にね。
でも、その下に漢族がいて、政治をコントロールしているんだ。だから自治区とは名ばかりで、自治になっていない。この辺にウイグル族の人たちの不満が溜まる原因があるようだね。
「新疆ウイグル自治区」のことを整理しておこうね。
新疆ウイグル自治区は、中国の北西部にあって、中国全体の17%程度を占める広さがあるよ。でも、面積が広いけど、その多くが砂漠のため人が住めないので、人口は2000万人(1.5%)くらいだね。新疆というのは、中国語で「新しい領土」という意味だよ。今の中国が清(しん)という国だったころに、清の領土になったときに、こう呼ぶようになったそうだよ。もともとこの領土に住んでいた人の多くはウイグル人で、トルコ系の人達なんだ。トルコの国から見ると東側にあるので、この辺りのことを「東トルキスタン」と呼ばれたこともあったのだね。そして、この地域に住む人たちの殆どはイスラム教徒なんだ。

その後、中国という国ができて、軍隊が入ってきて、自治区のあちこちに、安心して住めるようにしたり、土地を開墾したりした屯田兵のような集団がそのまま留まったんだよ。そうした人たちが居住地を作ったところに、漢族がさらに沢山移動してきて、今では漢族とウイグル族がそれぞれ自治区の人口のそれぞれ半数近くを占める二大勢力になったんだ。(漢族の比率が徐々に高くなっているようだよ)
その後、兵隊たちは、工場や会社を沢山作り経済団体へと生まれ変わり、自治区の経済発展の主要な役割を果たすようになっていったんだ。

ウイグル族の間には、漢族による政治支配や貧しいウイグル族と豊な漢族との間の経済格差への反感が高まり、一部の過激派グループは、ウイグル族の独立を目指して、爆弾テロや警察襲撃などの事件を起こしてきたんだね。     この写真はウイグル族の男性f0020352_1919421.jpg

たっくん: ふ~ん ウイグル族の割合が少なくなっているんだね
じいじ: もともとはウイグル族が多かったんだね。でも、さっきも言ったように、最近は漢族がどんどん移り住んできて、役所の重要なポストなども漢族が占めるようになったり、会社の幹部も漢族が中心になったりしているんだ。
だから、就職したり、商売をするのも、中国語ができないと不利になるんだね。ウイグル族の人たちは、なかなか豊になれなくて「差別されている」という気持を持っているんだ。
このような動きはチベット自治区と同じだね。

たっくん: 民族どうしが対立すると嫌だね
じいじ: そうだね。「支配される少数民族」対「支配する政府」という形から、「ウイグル族」対「漢族」という形になることは、深刻な状態だと思うよ。
さっきの暴動が起きた二日後に、漢族側が刃物や金属パイプを持って、ウイグル族の住んでいる地区を襲撃した事件は、中国政府にとってもショックだっただろうね。

このような大きな事件が起きたため、サミットに出席するためイタリアを訪問していた胡錦涛国家主席が急遽帰国して、サミットを欠席したことをみても、事の重大さを表しているね。

たっくん: 僕たちのような子供の普段の生活に影響はないの
じいじ: う~ん 無いことも無いかな。地元の学校の授業は、以前は漢語(中国語)とウイグル語が半々だったのが、今はすべて漢語になっていて、ウイグル語が満足に読み書きできない学生が多い・・・ということも聞かれるね。
それからイスラム教徒のウイグル人は、豚肉は食べないんだ。でも、漢族は豚肉が大好きだから、子供同士の食事会などでウイグル族と漢族が一緒の席につくといろいろと気を使うことになるね。

たっくん: じいじは、前にチベット族は中国からの独立を諦めた・・といっていたよね。ウイグル族はどうなの。
じいじ: おっ・・なかなか鋭い質問だね
チベット族の場合は、ダライ・ラマ14世というカリスマ的な指導者がいて、政治・宗教面の指導をしているけど、ウイグル族にはそれほどの指導者はいないんだ。
でも、「中国から離れて、自分たちの国を持ちたい」と考え、独立運動をする人たちも出てきているんだ。
でも、中国政府は、こうした独立運動を認めないんだね。厳しく取り締まられているんだよ。
新疆ウイグル自治区は、原油や天然ガスの一大生産地で、中国にとって経済的に重要な地域なんで、漢民族の移住が進んで、漢族は生活環境の良い地域に住み、ウイグル族は貧しい辺境地に多いのが特徴だね。
暴動が起きる原因は、「独立したい」という理由と、「中国政府の締め付けと経済格差に反発」してるともいえるだろうね。

ウイグル族の人たちが、「差別されている」という思いを持ち続けている限り、こうした暴動は、これからも起こると思うよ。

中国は、今年の10月、建国60年を迎えるんだね。北京で大規模なパレードも予定されているので、中国政府はどうしても社会の安定を維持したいところなんだ。
そのために、厳重な警戒による社会治安の維持と民族対立解消の努力という両面作戦で臨むことになると見られるんだ。

                     中国民族問題をめぐる動き
1949.10.01  中華人民共和国成立
1955.10     新疆ウイグル自治区成立
1959.03 チベット動乱、ダライ・ラマ14世がインド亡命
1997~98   新疆などで分離独立を求める暴動やテロ多発
2004 亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部ドイツ・ミュンヘン)発足
2007.01 中国公安当局がパミール高原で独立派の東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の訓練
基地を攻撃
2008.01 ウルムチで治安部隊がテロ組織拠点を急襲、2人殺害
2008.03    ウルムチ発北京行き旅客機でウイグル族女性がテロ未遂
ラサなどでチベット民族による暴動発生
2008.04 五輪選手誘拐や爆破テロを計画したとしてウイグル独立派の45人拘束
2008.07 ウルムチで独立を目指し「聖戦」を唱える集団のメンバー5人を射殺
雲南省昆明でバス連続爆破事件、2人死亡。トルキスタン・イスラム党が犯行声明
2008.08 新疆で警察官襲撃など五輪妨害狙うテロ相次ぐ
2009.06.26 広東省の工場で、ウイグル族労働者が漢族に襲われ2人死亡
2009.07.05  ウルムチで大規模暴動
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by m-morio | 2009-09-03 19:25 | 中国のこと | Comments(0)