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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史  核の諸問題 1

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二十世紀は人類にとって物質文明の画期的な発展があった反面、負の資産が形作られた時代であった。
その最たるものが「核兵器」の開発である。一方、原子力の平和利用はエネルギー問題には欠かせないが、果たしてどこまで安全が保障されるのか。
核と原子力平和利用に係る諸問題を共に考えていく。(講座の資料より)

講座のテーマは「核問題」ということは既にお知らせした。
一口に「核問題」といっても、その範囲は広くかつなかなか複雑である。
核兵器、核の平和利用、核拡散の防止などである。
話のとっかかりとして、まず、前掲の新聞記事をご覧願いたい。
10.03.06朝日新聞の記事である。
現在の「核」に係る諸問題が浮き彫りなってくるように思います。
読みにくいので、ここに転記(要点のみ)。

オバマ米大統領は、 「核不拡散条約(NPT)」 発効40周年に合わせて声明を出した。

◇近く発表する米国の核戦略見直し(NPR)に「安全保障戦略における核兵器の数と役割を縮小させる」との方針を盛り込む。
「核兵器なき世界」を目指すとした昨年4月の「チェコ・プラハ演説」で述べた考えを、今後5~10年の核政策にも反映させる。

◇米国とロシアが新たな核軍縮条約の締結を目指し協力していると強調し、米ソ冷戦時代の思考を乗り越え、
包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准する方針を示した。

◇「世界的な核戦争の脅威は過ぎ去ったが、核拡散の危機は続き、NPTはかってなく重要になっている」と指摘。
核物質が国際テロ組織の手に渡る事態を防ぐため、国際的な核物質管理体制を4年以内に確立することを目指し、(今年)4月12日からワシントンで核保安サミット(注・・核安全保障サミットとも表示される)を開くほか、5年に一度開かれるNPT再検討会議で、NPT体制強化を訴える考えを示した。

◇原子力の平和利用推進では、国際原子力機関(IAEA)の権限と機能強化に向けて、米国が必要な資源を投入する方針を表明。

なお、第1次戦略兵器削減条約(START 1)の後継条約に向けて米ロは、双方が配備する核弾頭数を1675~1500発に減らすことで基本合意しているが詰めの協議が難航している。

・・まあ、記事の内容はこのようになっている。
何の予備知識もなくこの記事を読んでもさっぱり理解できない。
いろいろな「条約」「会議」「機関」が出てくる。
そこで、まずこれらの「用語」について整理しながら理解を深めていきたい。





◆ 「核不拡散条約(NPT)」 (核拡散防止条約 とも表現される)
1968年国連で採択され、最初は62カ国が調印した。 1970年3月に発効している。                                             
「核兵器保有国」以外の国が核兵器を開発したり製造したり保有たりするのを防ぐ条約である。  
この場合の「核兵器保有国」とは、1967.01.01以前に核兵器を製造しかつ爆発させた国」、
つまり、アメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国の五カ国だけ。
それ以外の国が核兵器を開発・保有することを禁じる条約。 核兵器を五カ国で独占する条約なのである。
締約国・・190カ国。インド、パキスタン、イスラエルは非締約国。
北朝鮮は、「国際原子力機関」(IAEA)からの核兵器開発疑惑の指摘と査察要求に反発して、脱退。
条約の概要は、
・この五カ国は核兵器を持っていない国の核兵器開発を援助しないこと                      
・核兵器を持っていないで条約に加わった国は、核兵器を製造しないこと                                          
・核兵器を持っていない国が原子力を平和目的で利用する権利を保障すること
・核兵器を持たないと約束した国には、核保有国が、原子力発電所の建設技術を教えたり、原子力発電所を建設したりすることができること
・核兵器を持っていない国が、原子力発電所など核物質を生み出す施設を持った場合、核物質を兵器に転用していないかどうか「国際原子力機関」(IAEA)の査察を受け入れなければならないこと
などを定めている。

核兵器は五カ国が独占し、ほかの国に持たせないという差別的な条約ではあるが、世界の多くの国がこの条約に加わり、核兵器を持たない、持とうとしないことを宣言した。
日本もこの条約に参加し、定期的にIAEAの査察を受けている。
しかし、問題がないわけではない。
・この条約は、締約国が「誠実に核軍縮交渉を行う義務」を規定しているが、「核兵器廃絶を目指したものではない」→廃絶の時期は盛り込まれていない。
・核兵器保有5カ国の独占的優位性を維持している。→核保有国のみが核開発を許されている。

世界には、今も2万数千発の核弾頭が存在する。テロリストが核兵器を使う可能性も懸念されている。
 希望は、昨年(2009年)オバマ大統領の主導で核兵器全廃を目指す声が世界規模で広がり始めたことである。
今年は、5月に核拡散防止条約の再検討会議(5年ごとに開催)が開かれる。5月3日~28日、米・ニューヨークで。これだけ長期間なのは、なかなか纏らないためだ・・・・と巷ではいう!?

これまでも、現状を見直し、核兵器削減などの新たな合意を目指してきたが、核保有国と非保有国の利害対立は依然、根深い。前回の2005年の再検討会議は事実上決裂した。

記事の冒頭に出ている「NPT発効40周年」というのは、上記のように文字通り1970年3月に「発効」したことを意味しており、5年に一度開催の「再検討会議」で、NPT体制強化を訴える考えを示したのである。
包括的核実験禁止条約(CTBT)
 宇宙空間、大気圏内、水中、地下を含むあらゆる空間での核兵器の核実験による爆発、その他の核爆発を禁止する条約。
これは、部分的核実験禁止条約(部分核停条約)・・(1963年調印)において禁止されていなかった地下核実験をも禁止対象としたものである。
1996年9月、国連総会によって採択され、現在181カ国が署名、149カ国が批准。 日本は1996年9月に署名、1997年7月に批准した。
しかし、「発効」には研究・発電用原子炉を持つ44カ国の批准が必要だが、米国、中国、インドネシア、イラン、インド、パキスタン、北朝鮮、エジプト、イスラエルの9カ国が未批准のため未発効である。

注)米国・・・クリントン政権は1996年9月に署名済みだが、当時共和党が多数派だった上院が批准に反対した。その後ブッシュ政権も核爆発を伴わない「未臨界核爆発」を実施し、世界的な批判を受けた。オバマ大統領は上院に批准を勧めると表明している。当条約によっては禁止されていない、爆発を伴わない臨界前核実験(未臨界核実験)は採択後もアメリカとロシアで繰り返し行われており、核実験そのものは停止されていない。

採択以降、1998年5月、インド、パキスタンが核実験を実施、核保有を宣言。さらに、北朝鮮、イスラエル、イランの核保有疑惑など、当条約自体の有名無実化が懸念されている。
CTBTでは、「発効促進会議」なるものを2年に1度開催しているものの、ブッシュ前米政権は促進会議をボイコット、同条約を「目の敵」にしたほか、2006年に北朝鮮が核実験に踏み切り。CTBTは”受難の時代”が続いた。
しかし、オバマ大統領の登場で国際社会に早期発効に向け前向きな姿勢が生まれてきた。
発効には44カ国の批准が必要だが、未署名・未批准国は9カ国まで減少。中国は、一時批准に前向きな姿勢を見せはしたものの、進展は報告されていない。

記事の、「時代遅れの(米ソ)冷戦時代の思考を乗り越えて」CTBTの「批准」を目指す・・・というのは正にこのことを指している。
「国際原子力機関」(IAEA) 
1957年に発足した原子力の平和利用を促進する国際機関。
(1)ウラン、プルトニウム等の核物質は、原子力発電のような平和的目的のためにも、また、核兵器製造等の軍事利用のためにも使用され得る。このため、原子力の平和的利用の開発は、常に核兵器の拡散を如何に防止するかという問題を伴う。
(2)第2次世界大戦終結後、原子力の商業的利用に対する関心の増大とともに、核兵器の拡散に対する懸念が強まり、原子力は国際的に管理すべきであるとの考えが広まった。
(3)1953年の国連総会におけるアイゼンハワー米国大統領による演説(「Atoms for Peace」演説として知られる。)を直接の契機として、国際原子力機関創設の気運が高まり、1954年に、国連においてIAEA憲章草案のための協議が開始された。
(4)1956年、IAEA憲章採択会議においてIAEA憲章草案が採択され、1957年7月29日、IAEA憲章は所要の批准数を得て発効し、IAEAが発足した。
(5)2009年9月現在、加盟国は150ヶ国である。

記事では、原子力の平和利用推進のため、IAEAの権限と機能強化に向けて、米国が必要な資源を投入する方針を示した。
第1次戦略兵器削減条約(START1)
1991年7月米国とソ連が調印した戦略兵器の削減条約。 
・ 戦略核弾頭数をそれぞれ半分の6000に削減すること
・ 戦略核兵器を運搬する手段(大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル、戦略爆撃機)を7年間で1600に削減すること
という内容。
背景としては冷戦終結で核戦争の可能性が低下したことが挙げられる。

米ロ両国は2001年に削減義務を履行したと発表した。

「後継条約」として両国は1993年、多弾頭のICBM全廃を柱とするSTART2に調印したが、米国のミサイル防衛≪MD≫構想を巡って対立し、未発効。
2002年には、10年間で戦略核弾頭を3分の1に減らす戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)に調印したが、履行状況の検証規定がない。
さらに、「核弾頭を減らす」と言っているが、廃棄は義務付けていない。
核弾頭をミサイルからの先端から取り外すだけで「戦略核弾頭を減らした」と言える仕組みなのだ。
このように見ると、この条約は、されほど画期的な内容であるとはいえない。

米ロが互いの核兵器の削減と検証方法を定めたSTART 1の期限は昨年12月だった。
両国は、年末までに「後継条約」の締結を目指したが、今現在も難航している。
このままでは、4月の核安全保障サミット前の調印が困難な状況だ。
削減結果(核弾頭運搬手段の数と、核弾頭の運搬手段に関する)の検証方法などで歩み寄りが見られないのだ。
今年に入って、米国が東欧(ルーマニア、ブルガリア)への新たなミサイル防衛(MD)システム配備の検討を表明し、ロシアが反発していることが事を面倒にしている。
前ブッシュ政権下で冷え込んだ対ロ関係の修復を目指しているオバマ政権だが、その先行きには不透明感が強まっている。

このように、オバマ大統領が目指す「核兵器なき世界」への一歩が踏み出されようとしているが、障害・困難が行く手を遮っている。
4月の核安全保障サミット、5月のNPT再検討会議、夏頃には日本で核軍縮会議も予定(?)されている。
「核問題」は今、目が話せない段階に来ている。
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by m-morio | 2010-03-14 10:58 | 市民カレッジ | Comments(0)