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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史  核の諸問題 7

■原子力発電・・・その1

◇原発は必要なのか?
この問いかけには、賛否両論がある。
とても簡単に整理できる問題ではない。
賛成論・反対論は枚挙に暇が無い。
今、追い風としては、二酸化炭素の排出量がゼロであるとか、地球温暖化防止対策に有効だとか、化石燃料の石油や天然ガス資源には限りがあって近い将来(と言っても、50年、100年先を見越してのことだが)枯渇することが目に見えているのだから原発は必要なのだと語る。

一方、放射能汚染の危険性がある、放射性廃棄物処理の問題が解決されていないと反対の声を上げるのである。
特に、原発が所在する道県、市町村においては神経を尖らせている。
ここで、この問題の是非を突き詰めていくことは現状不可能に近い。
双方の意見は交わるところが見つからないからである。
この後、原発に関わる諸問題に触れながら皆さんと一緒に考えていきたい。





◇原発に固執する事情
現在、世界にあるすべての“原発”は、原子炉から発生する熱を利用して発電している。
水力発電も火力発電も廃れたわけではなく、世界各国で活躍している。
水力発電で必要なのは、水とダムによる水の落差である。燃料を必要としないのだ。
火力発電は、燃料を燃やすことによって熱を得、水を沸騰させ、圧力の高いスチームを作り、そのスチームでターヒーンを回し、発電させる。
原子力発電は、火力発電の熱源を単に原子炉に置き換えたに過ぎない。

日本で原発にこだわるのはそれなりの理由がある。
まず火力発電は石油、天然ガス、石炭などが燃料として使われる。特に石油はその殆どを輸入に頼っている。
そして燃焼した後には、二酸化炭素、硫黄酸化物や窒素酸化物などの毒性ガスも出る。大気汚染物が出るのだ。

原発はどうか。
前記のように安全に運転されている限りは、空気汚染を引き起こすものは排出しない。燃料の調達も比較的容易でもある。
(「核兵器のしくみ」山田克哉著 講談社新書 2004年)
もっとも問題がないわけではない。この点については追って整理する。

◇日本の原発
現在稼動中の原発は54基で、国内の発電電力量の約3割を担っている。
しかし、その平均稼働率は60%台と低迷しているという。
経済産業省が策定中の「エネルギー基本計画」原案によると、2030年までに十数基の原発を新・増設することを盛り込んだ・・・稼働率も90%台の水準まで引き上げるらしい(10.03.21道新)。
しかし、実現には相当な時間がかかる。

新・増設が困難であるならば、需要を賄うためには原発の寿命を延長しなければならない。
日本原子力発電・敦賀原発1号機(福井県敦賀市)が、3月14日、国内の原発で初めて運転開始から40年を超えた。
11月には関西電力・美浜1号機(福井県美浜町)も40年を迎える。
温暖化対策などで原発への期待は高まっているが新規建設は進まず「高齢原発」の使用が今後とも続く見通しだ。
高齢原発も主要機器の大半が新品に交換済みという。
ただ交換が難しい部品の劣化を心配する声もあり、敦賀1号機を「安全に」使い続けられるのかどうかが注目されている。(10.03.15日経)

◇「もんじゅ」
福井県敦賀市に日本原子力研究開発機構(原子力機構)が管理する研究用高速増殖炉「もんじゅ」がある。
今月中(2010年3月)に運転を再開すべく準備を進めている。 
14年余りにわたって停止していたものである。
国の原子力安全委員会は再開を容認した。
手続の最終段階として原子力機構は福井県に、再開に向けた協議を申し入れている。

既に述べたように、高速増殖炉はプルトニウムとウランを使って発電し、理論上は消費した分より多いプルトニウムを生み出す。
燃料を「増殖」できるため「夢の原子炉」と呼ばれている。
一方で、原子炉の熱を取り出す冷却材としてナトリウム(水や酸素に激しく反応する)を使用するため、構造上、発火事故などの危険性をはらんでいる。

「もんじゅ」は、研究開発の段階で、配管の一部が破損してナトリウムが漏れ、火災となった。
「もんじゅ」の開発には、これまで約9千億円がつぎ込まれた。
再開後も年間約200億円の費用がかかるといわれている。
商業化に向けては、さらに実証炉から実用炉へとステップを踏む必要がある。

欧米各国も夢の実現に向けて早くから高速増殖炉の研究に取り組んだ。
しかし、1990年代を境にして撤退ムードに変わった。
アメリカ、ドイツ、イギリスも撤退。
先頭を走り、世界初の実証炉「スーパーフェニックス」を運転していたフランスは、1998年にこの分野から撤退している。
その理由のほとんどは、“ナトリウムの取り扱いの難しさ“だという。もちろん、コスト高も要因であった。
巨額の開発費用に見合うのかという疑問も残る。

国や電力業界は、高速増殖炉を組み込んだ 「核燃料サイクル」 (注)の確立を目標に掲げているが、使用済み核燃料の再処理過程で出る高レベル放射性廃棄物の処理・処分の仕方も決まっていないのが実情だ。
注)使用済み核燃料(核燃料の燃えかす)から、再処理工場で処理してプルトニウムや燃え残りウランを取り出し(再処理)、再び燃料としに加工して原発に使う仕組み
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この図は 「北海道」のHPから転載したもので、北海道電力のプルサーマル計画を前提にしている
世界に目を向けると、エネルギー需要が拡大している中国、ロシア、インドなどは高速増殖炉の開発に力を入れ、今年中に実験炉の運転を始める計画だとか。
日本はこの高速増殖炉にどこまでこだわるのが良いのだろうか。
安全性の点からも、ナトリウム取り扱いで革新的な技術を開発できるのだろうか。
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by m-morio | 2010-03-21 15:32 | 市民カレッジ | Comments(0)