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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史  アラビア半島 その4

転記はこれで終わりにします・・・。

◆サウジアラビアの教育制度
サウジアラビアの教育制度においては、授業料・教科書などは公立の学校はすべて無料です。
しかし、この国には義務教育の制度はない。
(正式に義務教育を定めようとしているとの報道もあるらしい。)
学校に行くか行かないかは、個人あるいは親に委ねられているといわれます。

さらにイスラムとの関係も重要です。
教育省によって作られた「教育基本原理」によるその目的は
「ムスリム(イスラム教徒)の信仰と矛盾するあらゆる制度・原理を廃することによってイスラムの信仰に忠実な精神を養う」
とか
「イスラムの教えを守り、それを実行することによってイスラムとハーディス(預言者の言行録)を学び、暗記することにより、それらを護持する」
などと書かれています。





教育に対する批判もあります。
政府は予算配分において教育分野へ重点配分しています。
にもかかわらずこの国の識字率はきわめて低い。サウジ人において77%(2000年)。
また小学校への入学率も80%に達していない。義務教育がないことが大きな要因なのでしょう。
また、急激な人口増加に、学校建設や教員養成が追いつかず、公立学校の質はかならずしも高くないようです。中学・高校、大学へといくにしたがって進学率は下がる。
理由は、大半が途中でドロップアウトするケースだといいます。

経済界がサウジ人の雇用に二の足を踏む一つの理由になっています。

もう一つ、サウジの教育がイスラムに基づくのは国是だから当然なのですが、問題なのは現行のカリキュラムがはたして社会のニーズに合っているのかどうかということが問題視されているようです。
これが経済界が憂えている第二の問題なのです。

このような背景を持つ教育ですから、当然のように、教科書は自分たちが正しいという前提に立っています。「自分たちだけが正しい」という考えに収斂していきます。
世界に流布する「ジハード(聖戦)」に関する記述がそこかしこにちりばめられている。
小学校6年生になると
「世界各地のムスリムは自衛とジハードの義務を任されている。これはムスリムの栄光と尊厳、聖地の鈍化を確保するものである」といった文章が登場する。
さらに中学・高校ともなれば
「ジハードを闘うものにとって二つの幸福な結束がある。それは勝利と殉教である」
といった勇ましい言葉が現れる。
他者への非寛容と攻撃性(ジハード)・・・これがサウジのカリキュラムが発する一つの生き方のようです。
多くのアラブの若者たちはイスラエルとの戦いに挫折し、一方で産油国として莫大な富が流入するという皮肉な現象に直面していた。
この状況を感受性の強い、宗教心に裏打ちされた正義感に溢れたアラブそしてサウジの若者たちが、アフガニスタンやパキスタンに向かっていったのです。
オサマ・ビン・ラデンも、こうした若者の一人だったということなのでしょう。

そしてあの9.11の悲劇へと連なって行きます。
その日、米国のもっとも象徴的な都市で大規模なテロが発生した。
19人のアラブ・ムスリムの若者が四機の航空機をハイジャツクしてニューヨークの世界貿易センタービルとワシントンの国防総省に飛行機ごと突っ込んだのです。
米国の中枢で3000人の死者を出した未曾有の大事件です。
米国政府はすぐに実行犯として19人の名前を明らかにしました。
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サウジアラビアにとってショツクだったのはその19人のうち15人がサウジ人だったことです。
やがて米国は、事件の背後に国際テロ組織、アルカイダを指揮するオサマ・ビン・ラデンがいるとし、彼らの本拠地、アフガニスタンに対し軍事攻撃を開始した。

サウジアラビアにとって二重の意味で悲劇だったのは、すでにこの時点では国籍を剥奪されてはいたものの、事件の首謀者として名指しされたオサマ・ビン・ラデンもまたサウジ人であったことです。

9.11事件で、政府の立場とは無関係に、サウジアラビアは米国の敵として位置づけられてしまった。
米国の怒りはサウジアラビアの国家・社会のシステムにまで向けられました。
政治が悪い、社会が悪い、教育が悪い。
これらの攻撃は政府レベルというよりは、議会やメディアからだったようです。

この事件がきっかけになったとばかりは言えませんが、教育問題に関しては、「カリキュラム」の改正が検討されていますが、賛否両論で激しく対立しているようです。
カリキュラムばかりではなく、「教師」もその俎上に上げられています。
現場の教師の中身まで変えることは難しい。
どんな教科書を使っても、それを教える教師が過激思想をもっていれば、教えられる内容は過激になってしまいます。
過激思想を持つ教師に対する批判が新聞や雑誌に頻繁に掲載されるようになり、徐々に改善の兆しが現れ初めてきたというのがサウジアラビアの教育の現状のようです。
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by m-morio | 2010-07-22 20:04 | 市民カレッジ | Comments(0)