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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

お頭(つむり)にご無礼を・・・

面白いというか変わったというか、世の中にはめずらしい職業があるものだ。
といっても、江戸時代の話ですが。

火事と喧嘩は江戸の華・・と下々では自嘲的に言われたが、当時は”火事”には神経質だったし、火付けは大罪だった。
火消しは一番乗りを競い、その威勢のよさを生きがいにした。
火事の後には一つの仕事を作り出す。「火事場始末御用」という後片付け仕事だ。
焼け爛れた資材を整理・整地し大工へと引き継ぐ。
まあ、こんなのはごく分かりやすい例。

面白い役職があるのは閉鎖社会の象徴である江戸城内。

将軍の周囲に注目してみると・・・・・・

「お花畑番」・・・・
将軍の嫡子の遊び相手を役務とする。将来の将軍位を継ぐ子供の相手をするほぼ同年代の者が選ばれる。
当然、将来の出世が約束される。

「小納戸役」・・・・
将軍の身の回りの世話をする。ありとあらゆる細かなことを担当するので、その係りも多岐にわたる。

その一つに「月代御髪(さかやき おぐし)」がある。
別名「お髷番(まげばん)」といわれる。
注)月代=さかやき・・・・頭髪を、前額側から頭頂部にかけて半月形に、抜き、または剃り落としたもの。

その仕事は、文字通り将軍の”お頭(つむり)”のお世話である。

典医(医師)でさえ、将軍の脈を取る際は、直接肌に接することを禁じられ、「糸脈」といって、絹の糸を将軍の手首に巻き、その端で測るという所作が行われていた時代に、恐れ多くも”御頭”に触るのである。

毎朝決まった行事が繰り返される。
「お漱ぎ(すすぎ)」を・・・と大振りの椀と塩、房楊枝が将軍の前に置かれる
「お袖を」と・・・小姓が後ろから将軍の袖を支え、洗顔が行われる
洗顔後、厠(かわや)をすませ、月代御髪係の出番になる。

作業は 「お頭(つむり)にご無礼をいたしまする」 との口上ではじまる。
髭剃りから髪結いまで、毎朝行われる。
それもせいぜい半刻(1時間)程で終わる。
朝だけしか仕事がない。後は何もすることがない。

当然、剃刀を扱う。

将軍の身体に唯一刃物を当てることができる役目だ。

将軍の命を狙おうとするならば、この役目ほど適任?は無いのかも・・・・。

人選には神経を使うが、出世のために・・・、
あるいは、将軍の命を狙う謀略に利用せんと画策する者も現れる。

この辺りを取り上げた小説が書店の店頭に並んでいる。
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by m-morio | 2010-10-06 13:13 | | Comments(0)