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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史 ラテンアメリカ 4(完)

9 ヒスパニックの広がり
 ヒスパニックとは、英語でスペイン系ラテンアメリカ人。
専門家は
「自分か祖先がスペイン語圏のラテンアメリカ出身で、そのことにアイデンテイティをもち、アメリカに居住する人々のこと。」という。
その多くがメキシコ系。
 2006年のアメリカ合衆国の人口構成を見てみると、ヨーロッパ系66%、ヒスパニック系14.8%、アフリカ系4.4%となっている。
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アフリカ系よりもヒスパニック系が多いのである。ヒスパニックの実数4400万人は、メキシコの人口の4割に当たり、スペインの総人口とほぼ同じである。

アメリカ合衆国においては、増え続けるヒスパニックに対応して、大都市でさまざまな変化が見られるようになっているという。
スペイン語のコンピューターソフトを販売したり、スペイン語を話す店員を雇ったりと、企業はヒスパニックの消費者への働きかけに力を入れている。

▽アメリカとメキシコ
 メキシコ国境からアメリカ合衆国の南部一体にかけて、メキシコからの移民で著しい人口増加を引き起こしている。
アメリカ合衆国とメキシコの国境には、密入国を防ぐため、高さ3m.の鉄の壁が延々と延びている。まるで、イスラエルとパレスチナを思い起こさせる。 貧しさから逃れるための移住である。

背景には、アメリカとメキシコとの大きな経済格差がある。
しかし、移住といっても簡単ではない。豊かになりたいという夢を抱いても、合法的に行くには高い費用がかかる。国境を越えても、その多くはアメリカ側で拘束され、メキシコに送り返される。たとえ入国できたとしても、多くの人々は、労働者となって働く。

例えば、ロスアンゼルスにある衣料品の縫製工場では、ほとんどがヒスパニックの人々。低い賃金・長い労働時間。ヒスパニックの存在が、工場に利益をもたらしている。
さらに今や、アメリカの農業労働者の4割がヒスパニックだという。
不法滞在者も多く、取り締まるべきかどうかが、政治問題にもなっている。
もともとヨーロッパからの移民で形作られてきたアメリカだったが、急速にヒスパニックの流入が増えた。
・ヒスパニックの文化が浸透している・・・スペイン語人口の増加
・英語とスペイン語の両方を日常的に用いるアメリカ人が増えた
・ヒスパニックは労働力だけでなく、文化面でもアメリカを豊にしてきている
・更には、アメリカ国歌のスペイン語版まであるという
アメリカ合衆国のラテンアメリカ色が、だんだん強くなってきたといえるのだろう。





10 反米の動き
 かつては、キューバだけが反米政権だった。それが着実に増えている。
ベネズエラ(カリブ海をはさんでアメリカと向き合っている南米北部の国)では、1999年、民衆の圧倒的支持を得てチャベス大統領が政権についた。
就任以来、アメリカの政策とは距離を置く、反米路線をとっている。
世界有数の産油国で、石油産業は国営。かつては、アメリカなど外国資本との関係が強く、石油の収益は国営企業の幹部やアメリカに流れていたが、最近は多極化を進め、中国、ロシアにも輸出するようになった。

 ブラジル(広大な国土と1億8千万人の人口を持つ南米最大の国)は、1990年代後半、当時の政権がアメリカ寄りの経済政策を進めた結果、失業者が増え、貧富の差が大きくなった。経済政策の転換を訴えて、2003年、貧困層出身のルーラ大統領が就任。
ブラジルは、世界最大のサトウキビ生産国で、世界の生産の4割を占めている。
ルーラ政権は、このサトウキビから作るバイオ燃料のエタノール増産を目指した。ルーラ政権は、エタノールの生産を伸ばすことで、ブラジル経済発展と貧困の解決を目指している。

 最近のブラジルの様子を11.03.26の日経から・・
 ブラジルのコーヒーの消費量が、昨年45年ぶりに更新した。ブラジル農政省によると、2010年の国内1人当たりのコーヒー消費量が前年比3.4%増の4.8kg(加工済み重量)となった。ブラジルでの所得が向上している中間層を中心にコーヒーの消費量が増加したという。
総消費量は1910万俵(1俵60kg)と4%増だった。
ブラジルでは、1965年に1人当たり消費量が4.7kg.を記録。その後、消費者のコーヒー離れや経済の低迷で85年には、同2.2kgまで落ちた。しかし、90年代に入ってから、増加基調が続いており、総消費量も過去20年で2.2倍に増えた。
ブラジルコーヒー産業協会では、総消費量は2012年には2100万俵に達し、米国を抜いて世界1位になると見ている。
注)ブラジルは2010年に9%増の約3300万俵を輸出した。


次々と誕生する改革派の政権。その波は南米大陸のほとんどに波及している。
中南米に、アメリカから距離を置き、国民生活を立て直そうとする独自のネットワークが出来つつある。
南米では、アメリカ流の市場経済を押し付けられたことによって、国民生活が困窮してしまった。それへの反発が強まり、アメリカから距離を置こうとする国が増えたのである。

11 南米自立の動き
 南米諸国は、アメリカからの自立に動いている。
・政治・外交面でのアメリカからの自立
・アメリカ流の市場経済を拒否し、政府による福祉、所得政策を重視
・資源の富を貧しい人に回す
・アメリカを除いた地域共同体づくりをめざす(市場、金融、エネルギーなど)
 これらがアメリカ中心のパンアメリカニズムなどから自由になろうとする南米の意思なのかも知れない・・・・
と識者は指摘している。

19世紀から20世紀のアメリカ合衆国は、マニュフェスト・デステニー(注1)やパンアメリカニズム(注2)によってラテンアメリカを支配してきた。
しかし今、ラテンアメリカ人がアメリカに数多く移住している。
南米も自立の動きを見せ、ラテンアメリカの存在感が高まっている。

注)1 マニュフェスト・デステニー
「アメリカ合衆国が大西洋から太平洋まで拡大するのは、神が定めた明白な運命だ」とする19世紀の思想
注)2パンアメリカニズム
  「アメリカ合衆国を中心に、南北アメリカの平和を維持し、政治・経済などの面で南北アメリカ諸国の関係を強める」という考え方で、19世紀末に形作られた。

受け売り 現代史 ラテンアメリカ 1  
受け売り 現代史 ラテンアメリカ 2 
受け売り 現代史 ラテンアメリカ 3

(完)

[参考書]

「概説ラテンアメリカ史」    国本伊代著 新評論
「ラテンアメリカ」       大井邦明・加茂雄三著 朝日新聞社
「ラテン・アメリカを知る事典」 平凡社
「新詳 世界史図説」 浜島書店
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by m-morio | 2011-04-11 16:24 | 市民カレッジ | Comments(0)