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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史 緊迫する中東・アフリカ情勢①

この一月余り、東日本大震災の陰に隠れてしまっているが、アラブ世界で、今、起こっている政治の動きは、3.11大震災とともに、21世紀の世界史の記録に残る出来事である。
関心を切らせることなくその動向を見つめていくことも大切なことだと考えている。

市民カレッジでは、来月臨時講座が開かれる。
講師と主催者側が日程をやりくりして実現することになった。
題材は、世界が注目している中東・アフリカにおける内戦等の諸問題である。
手嶋先生は、今、シリア方面を旅しているはずである。10日に日本を離れたのでそろそろ帰国の時期なのかも?
次回の講座では、現地で見た、聞いた、感じた生の声を聞くことができそうで楽しみである。
                      (11.03.27日経より)
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 今年1月に、チュニジアのベンアリ政権が民衆の抗議デモで倒されたのを契機に、2月には、エジプトのムバラク前大統領が、民衆の大規模なデモで退陣に追い込まれた。
その後、反政府デモのうねりは、中東・北アフリカのアラブ諸国に広がった。
そして、ついには強固な独裁体制を維持してきた「シリア」にも飛び火した。
一方、「リビア」では、カダフィ政権と反政府勢力の攻防が、2ヶ月以上続いている。

手嶋先生の講義を聴講するに先立って、「シリア」と「リビア」の現状について予習をしておこう。

▼シリア
□国の概要:
面積・・・日本の約半分、人口・・・2109万人(2009年)、首都・・・ダマスカス、90%がアラブ人、また、90%がイスラム教徒、公用語はアラビア語、1946年にフランスから独立。
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 シリアは、イラク、レバノン、ヨルダン、イスラエルなどと国境を接していて「アラフの大国」を自認している。
1963年、バース党がクーデターで政権を握り、事実上の一党支配を続けている。
30年間政権を把握していた(ハーフェズ・)アサド前大統領が、2000年に死去後、息子の(バッシャール・)アサド大統領が政権を引き継いだ。結局、親子で40年あまりの間、権力を独占してきた。

この間、イスラエルとは3回にわたって戦争を繰り返し、対米関係では、シリアによるヒズボラやパレスチナ過激派支援などを理由に、米はシリアをテロ支援国家のリストに載せている。
対レバノンでは、シリアは、歴史的経緯からレバノンを同胞国とみなし、1990年のレバノン内戦終結後も軍部隊を駐留させ、実質的にレバノンを支配してきた。
その後、脱シリア支配の声が高まり、米仏を中心とする国際的な圧力もあって、シリアは2005年4月に軍をレバノンから撤退させた。現在、関係は正常化している。

□反政府運動
 アサド政権は、反政府勢力を徹底的に弾圧してきたため、これまではこの種のデモが起きることは稀であった。
しかし、チュニジアやエジプトに触発された若者たちが、インターネットなどを使って、政権に抗議するデモを呼びかけた。
当初は、
・非常事態令の解除
・民主化の要求
・当局に拘束された市民の解放
・「言論の自由」の保障
などを要求し、「反体制」「政権打倒」などではないことを強調していたが、治安機関による弾圧で死者が増える中で、市民の怒りが増幅していった。

 3月中旬以降、ダマスカスおよび南部の都市ダラアを中心にデモが拡大した。
イスラム教の集団礼拝が行われる毎週金曜日に反政府デモが行われ、治安機関が鎮圧し、犠牲者の葬儀が、新たなデモに発展するというパターンが繰り返されてきた。
デモは、その他の地域でも継続して起きている。

シリア政府は、外国メディアの取材を厳しく規制していて、詳しいことが伝わらない状況にあるが、(4月)17日から18日にかけて治安部隊による発砲で、デモに参加した市民がおよそ20人死亡したと伝えられた。
一連の反政府デモで、これまでに200人以上が死亡し、多数のけが人と逮捕者が出ているほか、治安当局による拷問も行われていると伝えられている。

□政権側の対応
 アサド大統領は、治安機関を総動員して、デモを徹底的に抑え込む一方で、融和策や懐柔策も打ち出している。
政治改革を実行するとして、新しい内閣を発足させ、「非常事態令」(注)を解除することを表明していたところ、(4月)21日、非常事態令を撤廃する大統領令を出した。  48年ぶりの撤廃である。
注)バース党が政権を握った1963年に発令され、治安や秩序の維持を理由に、治安機関に強い権限を与え、集会や政治活動の自由を厳しく制限する法令。
例えば、許可無く5人以上が集まることは許されず、逮捕状なしでも身柄を拘束される。今回、デモの参加者は、48年間出されたままの非常事態令の解除を求めていた。
エジプトの前ムバラク大統領も、就任以来、非常事態令を出し続けていた。
独裁政権を維持するための道具とされている。


□デモは収まるのか
 非常事態令を解除すればデモは収まるのか。
そう簡単には収まりそうもない。
大統領は非常事態令の撤廃と同時に、許可のないデモを禁止するという大統領令も発布した。
非常事態令の撤廃で実際に情勢が沈静化するかどうかについては疑問の声が出ている。

デモの参加者たちは、表面的な解除にすぎず、実質的には何も変わらないだろうとみており、デモを継続する見通しである。

今後も目を離せない。
(続く)
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by m-morio | 2011-04-22 11:35 | 市民カレッジ | Comments(0)