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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史 緊迫する中東・アフリカ情勢⑩

 これまで、中東・アフリカの騒乱について思いつくまま書き連ねてきました。
しかし、振り返ってみますと、起きた事実をそのまま転記しているに過ぎない・・・のかも。
それは当然でしょう!?
タイトルが “受け売り” 現代史 なのだから。。。!(^^)!
文才のない私には、その意図するところを十分に伝えきれないのがもどかしい。

先日、講座を聴講して、いろいろなことを考えさせられました。

 中東などに限らず、中国・北朝鮮も含めて、求められている(求めている)「民主化」とは何なのだろう。
言論の自由なのか、富の配分の公正化なのだろうか。

国情が異なり、その背景にある歴史や民族構成や政治・経済情勢がそれぞれ異なるため、一様には論じられるものではないですね。

私は迷走しています。

そもそも、アラブの人々は、「“欧米流”の民主化」を求めているのでしょうか。
差し当たっては、身近な“自由”を求めているのでしょう。
長年、圧制の下で抑圧されてきた人々が、今、この機会を逃したら、次のチャンスは何時来るのか・・
という気持ちなのでしょうか。

エジプトにしろ、チュニジアにしろ、今後どのようなプロセスをたどって新たなスタートを切っていくのか。

これが“正解”というものがありません。

とにかく今後の推移を見守ります。

もう一つ、私たちは、“現代史”を学んでいます。
紛争中のシリア・バーレーン・リビア・イエメンなどの国々に関する報道を日々追いかけて、目先の事象にばかり囚われて単に騒乱の状況を知るのではなく、その背景にある“歴史”を20年なり50年遡って学ぶという場に身をおいていることを忘れてはならないと自戒しています。

“歴史”をどのように文章に散りばめればいいのか、試行錯誤の日々です。

そんな思いを持ちながら、
「緊迫する中東・アフリカ情勢」の掉尾を飾って(?) 「エジプトのその後」を・・・。





▼その後のエジプトf0020352_1295426.jpg
図: 外務省HP より
◇まえがき
  エジプトは北アフリカ最大の国。
親米のムバラク大統領はイスラム勢力の拡大を恐れ、選挙に徹底的に介入した。
2010年11月の人民議会選挙では、表面的には与党の国民民主党が圧勝したことになっているが、これはとても民意を反映したものではなかった。
2011年2月、首都カイロに100万人の市民が集まり、ムバラク大統領の退陣を求めた。
チュニジアで起こった民衆による政権転覆の革命がエジプトに飛び火したのだ。

イスラエルと隣接するエジプトは、1979年、アメリカの仲介で、アラブ国家で初めて平和条約に調印した親米国家である。(当時は、サダト大統領)
中東で孤立するイスラエルと手を組んで中東和平の要の国となった。
注) サダト大統領とペギン首相の米・キャンプ・デービットにおける合意。しかし、アラブ18カ国とPLOはエジプトと断交した。

そのムバラク政権が、国民の反感を買った。
エジプトは、一応、民主主義国家ということになっているが、サダト大統領が暗殺(1981年)され、後任のムバラク大統領は、暗殺事件後、「非常事態令」を発令し、つい最近まで解除しなかった。
平たく言うならば、大統領に強権が与えられ、政権を批判しようものなら、逮捕状がなくても拘束されてしまうというものだった。

2000年以降に進んだ経済の自由化で、貧富の差が拡大し、若者の失業率が高いなどの不満が蓄積されていった。
そんなタイミングで、同じ北アフリカのチュニジアで長期独裁政権が倒れたのを目の当りにした若者たちが立ち上がったのである。

政権が倒れた直後は、市民の意識も高揚していて、デモが散発的に発生した。
長年の独裁政権の弾圧で、政府の「野党」勢力が育っておらず、選挙後の政権像が見えないと報道されている。
また、エジプトでは、今秋大統領選挙が予定されているがその動向についてはいろいろ取り沙汰されるがこれも先行き混沌としている。
以上のことを念頭に置きながら、政変によって何が変わったか(変わりつつあるのか)、民主化の取り組みが成功するのか、などについて整理していく。

◇これまでの流れ
ムバラク政権に抗議する民衆のデモは、チュニジアの政変に触発されて1月25日に始まった。そして、ムバラク氏が辞任に追い込まれたのが、2月11日だった。f0020352_113323.jpg
わずか18日間で倒された。
今回の政変には、2つの側面があった。
一つは、「民衆による革命」で、もう一つは「軍によるクーデター」である。
「民衆による革命」の主役は、どちらかというと宗教心の薄い(イスラム色が弱い)、都会の若者たちで、インターネットや携帯電話を利用して、大規模な反政府デモを組織した。
そして、デモが続く間、中立の立場を保ってきた「軍」がムバラク氏に引導を渡した。

◇何が変わったか
人々は、新しい時代の到来を実感しているという。
学生たちは「何でも言いたいことを言えるようになった」と喜ぶ。
やはり、なんといっても「自由」の空気。
大規模なデモが連日行われたカイロの中心部のタハリール広場では、人々は、不満や自由を口にできるようになり、警察の眼を気にせず、デモや集会を行っている。
引き続き起こるデモでは、ムバラク政権による弾圧や汚職を厳しく裁くよう求めている。

 軍の最高評議会が、政権を掌握したが
「あくまでも、民主的な政権に移行するまでの一時的な措置で、正式な政権ができたときには、すべての権力を引き渡す」
と強調している。
軍の最高評議会は
・ムバラク政権時代の憲法を無効にし、議会を解散した
・前の政権とつながりのない法律専門家による委員会が憲法改正案を作った
・3月19日、その是非を問う「国民投票」が行われ、賛成77%で改正案が成立した
その主な改正点・・正式な政権を選ぶ選挙を行うための部分的な改正

・大統領の任期を、これまでの6年から4年に短縮し、2期8年を限度とした
・与党に圧倒的に有利だった大統領選挙の規定、特に立候補資格を緩和し、野党や無所属の候補にも立候補の機会を広げた
・裁判官が、選挙を監視し、不正を防ぐしくみを作った
・更に、必ず副大統領を置くことも定めた

◇今後の日程と政党の動き
  軍の最高評議会は、今年9月に人民議会選挙、11月までに大統領選挙を実施すると発表した。これは、エジプト国民にとっては、誰にも強制されず、自由な意思で投票できる初めての選挙となる。
 ムバラク政権時代、政権与党として権力を独占した「国民民主党」は4月、裁判所から解散命令が出された。
 民衆革命の中心となった大規模デモを組織した若者たちのグループは、選挙に向けてどう行動するのか?
 「政党づくり」「候補者を擁立、選挙に参加」するのかどうか、なかなか意見がまとまらない。新たな政党を作って選挙に備えるには“時間がない”という現状。

 対照的に、選挙に向けて着々と準備を進めているのが「ムスリム同胞団」。
注)ムスリム同胞団
エジプトの最大野党で、テロや暴力を否定する穏健なイスラム原理主義組織。貧しい人々の暮らしを支える福祉活動に力を入れ、庶民から圧倒的な支持を得ているが、ムバラク政権下では、政党としては非合法とされてきた。今回の民主化運動の結果、公平な選挙が実施された場合、この勢力が圧勝しそうな勢いだと伝えられている。
→イスラム原理主義
 西欧的な近代化をムスリムの堕落とし、ムハンマドの教えに立ち返ってイスラム世界を再生しようとする考え方。共産主義や社会主義に失望した貧困層を中心に支持を拡大した。現在、欧米主導の中東和平に反対してテロ活動を展開する勢力もある。
ヒズボラ(レバノン)・・イランの支援を受けてイスラエルに対抗
ハマス(パレスチナ)・・暫定自治協定を否定し、イスラエルに対するテロ活動を展開してきた
ムスリム同胞団(エジプト)
タリバン(アフガニスタン)


5月18日、選挙に向けて、 「自由公正党」 という政党を結成し、政府に新党の届出を提出し、エジプト政府は6月6日、ムスリム同胞団が創設した新政党「自由公正党」を承認した。       
同胞団は80年以上前の創設以来、初めて、政党を通じた合法的な存在として政治参加することになった。
宗教党でないことを強調し、副党首にキリスト教系コプト教徒を任命もした。
9月の人民会議(下院、518議席)選に、250人程度の候補者を擁立する方針。
ただ、今年の人民会議選挙には参加するが、大統領選挙には、独自候補を立てないと言明している。次回以降は「あらゆる選択肢がある」とし、意欲を示している。

 大統領選挙への立候補の意思を表明した候補の中で、注目されているのが、
アラブ連盟の事務局長を務めたアムル・ムーサ氏 と ノーベル平和賞を受賞し、国際的には有名だが、エジプト国内では強い支持基盤がないエルバラダイ氏
なお、軍の最高評議会は、軍からは大統領候補は出さないと表明している。

◇民主化の取り組みは成功するか?
「独裁政権を倒すこと」と、「新しい政治体制をつくること」とは、まったく別のこと。
大統領候補にしても、今後新たな動きが出てくる可能性もあり、どのような政治体制になるのか予測もつかない。
政権を倒した若者たちが、人民会議選挙に向けては、出遅れている。
政権を倒したのはいいが、新しい体制になっても、失業問題などはなかなか好転しないかもしれない。そのとき、若者たちは、再び反政府デモを起こすのか。。。

 注目しておかなければならないのが、大規模デモではあまり目立たなかった「ムスリム同胞団」が、ここにきて、その存在感を増していること。
新体制で、すぐさまイスラム色の強い政権となるとは思われないが、中長期的には、イスラム化が進む可能性はある。

 ムバラク前大統領辞任後、暫定統治している軍の最高評議会に前政権幹部の不正追及の加速や新憲法制定を求めるデモが起きている。
国民の間で、前政権幹部の不正追及が手ぬるいとの批判や、警察力低下で治安が悪化しているとの不満が高まり、文民主導の暫定政権を求める声すら出ている。
 もう一つ、最近の動きで注目したいのは、人口のおよそ10%を占める少数はのキリスト教徒と圧倒的多数のイスラム教徒との間で、衝突が頻発し、死傷者が出ていること。
宗教対立の激化は、民主化にとっては懸念材料である。

各国の情勢には変動的な要素が多く、最終的にどのような形で終息するのか、全く予想もつかない。
国の事情は、その歴史、民族構成、宗教、政治・経済の様子が異なり、勝手にかつ一様に語ることはできない。
識者の皆さんが、いろいろな角度から解説しているが、今回の中東・アフリカの騒乱が起きた背景には一口で語りつくせない事情がある。

 縷々触れてきたように、チュニジアでも、エジプトでも、平和的に政府打倒を叫んだのは、ツイッターやフェイスブックを駆使する大学生たちだった。
エジプトは、新体制移行のための工程表ができつつあるが、「若者たち」が、総選挙にどのように対応するのか、限られた時間との戦いに奔走している。


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受け売り 現代史 緊迫する中東・アフリカ情勢⑨ 中東・アフリカのその後



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騒乱は刻一刻変化しています。
「緊迫する中東・アフリカ情勢」は、今回をもって一旦区切りとしますが、その行き着くところを見定めたいと考えています。
よって、必ず、「その後」に触れることになると思います。
それまで、小休止させていただきます。
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by m-morio | 2011-06-09 12:26 | 市民カレッジ | Comments(0)