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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史 原子力発電・・・その12

◇歴史に学ぶ

 随分スペースをとって「原発問題」を考えてきたが、少々長すぎてとりとめのないものになった。この辺で一区切りとする。

 最後に、過去の原発事故に触れておく。
ただ、原発の仕組みなどは、素人にとってはきわめて難解だ。よって、以下の文では、かなり素人っぽい表現で、事実を正確には表していない部分があることをご了承願いたい。
こんな事故だったのだ・・・・程度の理解の参考にしていただければ幸い。

なお、米国とウクライナの事故によって少なくない人命が失われている。しかし、その数は正確には把握できない面がある。放射能に起因する病気によって事故後に亡くなった場合、その原因が特定できないケースも多いという。よって、本稿では死傷者の数には敢えて触れていない。

▽スリーマイル島原発事故(TMI事故)
アメリカのスリーマイル島原発2号機の事故によって「原発安全神話」が崩壊したと言われた。f0020352_11254553.jpg
しかし、32年後、福島第1原発の事故で、再び世界中で「原発の安全神話の崩壊」が叫ばれている。

振り返ってみよう。
スリーマイル島は、ペンシルバニア州の首都ワシントンから約150キロのミドルタウン市の中央部を流れるサスケハナ川の中州にある。原発近くの国道沿いには、今、住宅がぽつりぽつりと立っているという。その目前では、そびえたつ4本の冷却塔のうち、2本から水蒸気が勢いよく吐き出されている。
事故があった2号機とは別に1号機は現在稼働中のため、解体して廃炉にするのは、1号機の廃炉時に同時にするという。このため2号機は現在、監視体制のもと、そのままの状態で置かれている。

事故は、1979年3月28日に起きた。
運転開始して三月にもならない新設の原子炉が冷却材を失って炉心溶融(メルトダウン)にいたった。
冷却材とは、この炉の場合、「水」であるが、炉心から熱を取り出して発電に使うと同時に、炉心が加熱して溶けないように冷やすという重要な役割を担っていた。

冷却水がどこかで洩れると原子炉内を連続的に循環しなくなる。炉心の温度は上がる。      
通常、このような事態が発生すると自動的に補助ポンプが動き冷却水を補うような仕組みになっている。
しかし、この事故では、この補助ポンプが作動しなかった。勿論、補助ポンプはいくつも設置されていて、一つが作動しなくても、他のポンプが作動することになっていた。
この別のポンプへの連結もうまく作動しなかった。
原因は、別のポンプの弁が閉じられていたことだった。事故が起こる前の点検の際、誰かが弁を閉めてしまって、開けるのを忘れたらしい。

約16時間後に冷却水のポンプが稼働し、圧力容器にも損傷は見られなかったことから、拡散した放射性物質はわずかだったとされる。
原発は、何重にも安全装置が施されていて”どんな事態になっても安全”だという言い分はその根拠を失ったのである。

高熱・放射能などのため、炉心の写真を撮ることができたのが3年後。
6年後、アメリカ政府による調査報告書で「事故発生後2時間半で、炉心部の金属はウラン燃料とともに融けだした」と発表した。
炉の中心部は原形をとどめていなかったという。どろどろになって崩れ落ち、瓦礫と化した燃料を取り出すことができたのは、10年後であった。 原子炉の放射能汚染を除染できたと確認できたのは14年後のことだった。





▽チェルノブイリ事故f0020352_1128722.jpg
 1986年4月26日、ウクライナ(当時はソ連のウクライナ共和国)で、チェルノブイリ原発4号機が「暴走」を始め、2度、3度と爆発が起こり、火柱が吹き上がった。
最新鋭の黒鉛減速炉で運転開始からまだ2年しか経っていなかった。
チェルノブイリ原発4号機では黒鉛を減速材にした原子炉を使っていた。
タービンを回すための蒸気を止めても発電機は惰性で回り続けるが、事故発生時は、蒸気なしで発電機からどのくらいの電力が得られるのかをチェックする実験を行なっていた。
この時、原子炉内の核分裂反応が暴走して温度が急上昇し、そのため減速材の黒鉛が燃えて、核燃料の入っている炉心が溶け出し(メルトダウン)、その結果爆発が起きた。

 前述のように、原子炉にはいくつもの安全装置が装備されている。一つの安全装置が故障しても、自動的に他の装置に切り替わるようになっている。このほかにも原子炉を停止させる自動停止装置もある。
しかし、こともあろうに実験に従事していた作業員たちは、実験中にこれらの安全装置のスイッチを切っていたという。なぜ、切っていたのか未だに不明だそうだ。
決してやってはいけないことをやった結果、起こるべくして起こった事故である。

結果として、大量の放射性物質が大気中に放出され、拡散した。
国際原子力機関(IAEA)が定める8段階の国際原子力事象評価尺度(INES)で「レベル7」に認定された、原発史上最悪の事故とされた。

事故後、放射能が外に洩れないように、当該原子炉はコンクリートと鋼鉄で覆われた「石棺」と化した。
しかし、コンクリートのひびや穴から放射能が洩れ、石棺が崩れる心配が出てきたため、巨大なかまぼこ型のアーチ構造物で丸ごと覆ってしまうという計画が進んでいる。
 チェルノブイリ原発周辺の立ち入り制限区域を管理する政府機関は2011年3月28日、同原発を解体するためには約100年かかるとの見通しを示したと報じられた。
危険性が高く作業が困難なため、長い年月と巨額の費用がかかるとみられる。当時稼働していた1~3号機は2000年までに順次運転を停止し閉鎖したが、原発当局者によると、事故から25年たった現在でも3480人が働き、石棺や使用済み核燃料の安全管理などに当たっているという。

▽日本の原発事故
事例を挙げると
・1991年2月9日、福井県にある美浜原発2号機で起きた。原子炉冷却水が浄化装置を通ったあとの配管とバルブの溶接部付近に小さな穴があき、冷却水が噴き出した。冷却水が噴き出すと炉内で冷却水が効率よく循環しない。結果として、炉内で発生した熱が外に出なくなる。炉心の温度が上がり、ついにはメルトダウンにいたる。
 幸いにも美浜原発2号機はメルトダウンを免れたが、放射線を含んだ冷却水の漏れの総量は14.8トンにおよんだという。事故の原因は、欠陥工事であったらしい。

・1995年12月8日、やはり福井県の敦賀にある高速増殖炉もんじゅが事故を起こした。
この事故では熱交換器の出口配管からナトリウムが洩れ、原子炉は手動で緊急停止した。もんじゅでは、冷却材に液体状のナトリウムを使用する。
事故による放射線漏れはなかった。
しかし、もともとナトリウムは他の物質と化学反応を起こしやすく、水とも激しく反応する。ナトリウムの取り扱いは決して簡単ではない。この事故では、外に洩れたナトリウムが空気中の水分と猛烈に化学反応を起こし、もうもうたる白煙を放出した。原子炉そのものの事故ではなかったが、この事故は一時隠蔽されていた。

日本の原発事故は、ここに挙げた以外にもたくさんあるが、これまで見てきたように、原発のほとんどの事故は「人間」によって引き起こされている。
「ずさんな工事・管理」「作業員認識不足」など原因はいろいろある。
「事故の隠蔽」もある。表ざたになると「世間が騒ぐ」とか「誰が責任をとるか」といったことが絡んでいるのだろう。

原発の仕組みは複雑である。今回の福島第1原発の事故をみても、一般市民に分かりやすく説明しようとすればするほど、事は細部にわたり、かえって判りにくいものになっていた。
我々も、この機会にもう少し原発についての認識・知識を積み重ねる必要があるのかもしれない。

▽最後に
 野田首相は、今後の原子力政策について
「中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきだ」との考えを表明している。
また、原発の新増設についても
「現状では困難だと考えている」とも述べている。

22日(2011.9)にNYの国連で開かれる「原発の安全性と核の安全保障に関するハイレベル会合」で、野田首相が行なう演説案の全容が18日明らかになった。
それによると、
「安全でより信頼性の高い原子力エネルギーの確保は引き続き必要だ」
と直ちに「脱原発」へ移行しない立場を表明する。
今後のエネルギー政策では再生可能エネルギーの開発、普及に当たるとし、各種エネルギーの割合など具体策決定へ作業を加速させる方針を示す。

具体策は今後明らかにされるのだろうが、「新増設」の定義一つとっても、必ずしも国民の望む方向とは異なりつつある現状からすれば、今後も紆余曲折が予想される。

深刻な原発事故が起きれば影響は世界に及ぶことを福島第1原発事故が如実に物語っている。
また、一度事故が起こると、その後始末には、膨大な時間と、莫大な費用がかかることも理解した。
(使用済み原子炉の廃炉の場合も似たようなものだか・・)
にもかかわらず、IAEAによると、世界では、2030年までに少なくとも90基の原発が新たに稼動するという。
原発の安全は、一つの国の判断だけにゆだねることはできない世界共通の課題なのだが。。。。


福島原発の収束の見通しは霧の中にある。
11.09.18産経新聞の記事によると・・・
福島第1原発の事故処理で、廃炉に向けた最大の関門である「燃料取り出し」が具体化してきた。          
米スリーマイル島(TMI)原発事故でも採用された原子炉を水で満たす「冠水」という方法で、10年以上かかるとみられている。 原子炉は事故で損傷し、水が溜められない状況にあり、まずは損傷場所の特定が必要だが、その作業でも数年はかかる見通しだ。
今回の事故では燃料が溶け落ちていることなどから、通常の取り出しシステムは使えない。
そこで東京電力が考えているのがTMI原発事故で実績がある冠水。                         
10年以上かけ、
(1)損傷場所を補修                                                        
(2)水張り                                                               
(3)圧力容器内の燃料取り出し
(4)格納容器に落ちた燃料の取り出し                                            
-の順に行う計画だ。
 原子炉を水で満たすのは、取り出す際も燃料を冷却し続けるためで、水には放射線を遮蔽(しゃへい)する効果があり、作業の安全性を確保するねらいもある。                            
通常時でも、燃料を取り出す際は、保管用のプールまで水中を移動させる。
しかし、実際はこの冠水の前段階である、損傷場所の特定すら困難な状況となっている。
原子炉建屋内は毎時数シーベルトという高い放射線量が測定され、損傷場所を探すために、人が容易には近づけない状況にあるからだ。
さらに、原子炉建屋地下には炉から漏れた汚染水がたまっており、損傷場所が水につかっている可能性もある。
特定作業には遠隔操作できるロボットやファイバースコープ、超音波などを使った調査が有力視されているが、具体的な手法は決まっていない。ロボットも既存のものはないとされ、新たに開発する必要が出てくる可能性もある。
(後略)
 

私自身、(核問題を含めて)原子力に関してはまだまだ理解できないことは山ほどある。
目を話せない社会問題である。

本blogでは、折りをみて、また勉強の機会を持つこととする。
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by m-morio | 2011-09-19 11:43 | 市民カレッジ | Comments(0)