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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 代史 緊迫する中東・アフリカ情勢⑬

▼緊迫するイラン 2


 12.2.8付道新に次のような記事(要点のみ)が載った。
イランにある同国第2のウラン濃縮施設に、濃縮ウランを製造する複数の遠心分離機を設置し、順調に稼動させているもよう。この施設は今年1月、同施設を稼動させたと表明し、濃縮度約20%のウランの製造を始めたことが判明していた。
20%の濃縮に成功すれば核兵器級の90%の濃縮は技術的に容易とされる。イランは別の核施設でも濃縮度約20%のウラン製造を大規模に進めている。イランに対しては、IAEA・国債原子力機関は今月後半に、調査団を再派遣し、調査結果を報告書にまとめる見通しである。
さらに、別項で
米大統領はさらに追加の制裁を命じる大統領令に署名した。これに対し、イランは「新しいものは何もなく、神経戦にすぎない」と批判。同国報道官は「われわれは30年以上もそのような制裁に直面している」と指摘した。


1979年の「イラン・イスラム革命」から続く、イランとイスラエル、アメリカとの間には激しい敵対関係と相互不信がある。
イスラエル自身が、多数の核兵器を保有していることは、公然の秘密だが、そのことは棚に上げ、敵対する国の核開発を実力で阻止する政策をとってきた。
イスラエルの指導部は、攻撃のプラス面、マイナス面を精査したうえで、攻撃に踏み切るかどうか、判断を下すものと見られる。

一方のイランは、強硬な姿勢を変えていない。
最高指導者ハメネイ師は、3日、国民向けの演説で、「制裁によって核開発が妨げられることはない」と、核開発を続ける意思を強調したうえで、「われわれは、脅威に対しては、脅威をもって、報復する手段がある」と述べて、イスラエルから攻撃された場合、報復攻撃を行う姿勢を示した。
ここに来て、関係国の政治家の発言や報道が、切迫感を帯びてきている。

このままでは、イスラエルとイランの軍事衝突が起きる危険性が高いと考えもするが、イランに対する軍事攻撃は、極めて大きなリスクを伴う。
まず、国内にいくつもある核施設を、すべて破壊するのは不可能。
イランの核開発計画を、せいぜい数年遅らせる効果しかないように思う。
オバマ大統領は、イスラエルの軍事攻撃を抑えることができるのか。
今秋の大統領選挙を目前にして、選挙で大きな影響力を持つ在米のユダヤ人団体からの圧力も予想される。
現在行っている、イランの原油輸出を対象にした厳しい経済制裁で、イランの核兵器開発を止められない場合には、イスラエルを説得できなくなるだろうという見方さえある。





ここで、少しイランの核開発について触れたい。

▼イランの核開発
イランは、NPT・核拡散防止条約の加盟国である。
このNPTは、
「国連安保理常任理事国の核保有五カ国(米英仏露中)以外の加盟国に対して、核兵器保有を禁じる一方で、「平和利用としての核エネルギー開発」の権利を保障している。
NPTに加盟せずに核の保有を宣言した「インド」や「パキスタン」、
NPT未加盟で核兵器の保有が公然視されている「イスラエル」、
さらに核実験をしてNPTを脱退した「北朝鮮」・・
これらの国々とはその立場は自ずから異なるのである。
だから、地球温暖化防止の観点からもイランが核開発(「核エネルギー開発」)を進めることになんら問題はない。

にもかかわらず、イランの核開発は国際社会の「深刻な懸念」とか「重大な脅威」と受け止められ、国連安保理は再三にわたってイランに対して「ウラン濃縮活動の即時停止」を求める決議を採択して圧力を強めている。
核エネルギー開発について、その権利を尊重するが、「ウラン濃縮活動」の停止を要求しているのだ。

言い換えれば、イランは核エネルギー開発を隠れ蓑にして、実際は核兵器を開発しようとしているのではないか、と疑っているのである。
これに対して、イランは、核兵器開発の意思はないと繰り返し表明している。
ただ、イランが国内でウラン濃縮(低濃縮ウランは、一定のレベルの設備と技術を備えて濃縮活動を進め、その純度を高めていけば、核兵器製造に転用可能なレベルの高濃縮ウランになる)を続けることは、核兵器保有に向けた潜在能力を将来に残すことになる。
その芽を摘み取りたいというのが米国などの考えである。

これがイラン核開発問題の基本的な構図。

ただし、イランはNPTの加盟国である。
”疑念”を盾にして”核エネルギー開発”をも制限しようとする米欧のやり方は”矛盾している”と反発する。
インド、パキスタン、イスラエルの「核」を不問に付しておいて、”なぜ イランだけ”こんな扱いを受けるのか?との思いがあるのだろう。

米欧には「イランは信用できない」という思いがある。
詳細は省くが、信用できない根拠となる核兵器製造に関する資料が、イラン側から見つかっているのだ。

▼米欧以外の動向
イランと経済的な結びつきが強い中国とロシアは、話し合いによる解決を主張し、制裁の強化には反対している。
また、トルコやインドは、米国からの制裁への協力要請を受け入れず、イランからの原油の輸入を続ける。
各国とも、エネルギーの確保が、経済のアキレス腱。

イランは、それを利用して制裁の影響を最小限に食い止め、核開発を進めるための「時間稼ぎ」をしようとしているのだろうか。

(続く)
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by m-morio | 2012-02-11 16:39 | 市民カレッジ | Comments(0)