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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史 原子力発電・・・その17 核のごみ

毎日、世界中で原子力発電所から出される大量の核廃棄物が、それぞれの国で暫定的な集積所に蓄えられています。                                                            その集積所は自然災害、人災などを受けやすいため、地層処分(用語集⑨)という方法が検討されています。諸外国の多くはこの核廃棄物を直接処分する方法をとっていますが、わが国はそれらを再処理する核燃料サイクル(用語集②)を推し進めようとしています。いや、推し進めてきました。 
フィンランドのオルキルオトでは、固い岩を削って作られる地下都市のような巨大システム=世界初の核廃棄物の永久地層処分場の建設が進められていることは前回触れました。

でも、私は、

「人間が10万年後の物事に責任を持って対処するのは不可能なのではないだろうか」
と思っているのですが。如何でしょうか。





東京電力福島第1原発事故は、放射能の恐ろしさを見せつけ、核燃料サイクル政策、原子炉の廃炉などいくつもの難題を突きつけましたが、原発に賛成、反対のどちらの立場をとるかにかかわらず、我々は重い現実に向き合わねばならなりません。

その最大の難関が「核のごみ」問題だと考えています。

福島の事故後、いくつかの事故原因調査報告書がまとめられましたが、その原因調査も道半ばのまま、一部の原発が再稼動してしまいました。
しかし、政府の対応は遅々として進まない。
エネルギー・環境戦略(用語集⑮)いう今後のエネルギー政策の方向付けも9月には発表されるらしいのですが、その内容は、多くの国民の原発ゼロを望む声を斟酌し、原発ゼロを盛り込む方向だといいますが、具体的な実現時期は明記しない可能性があるようです。

福島の事故では、原子力行政の推進と規制の区分があいまいで安全規制の「無責任状態」に問題があったとされました。
このため、規制部門を経済産業省などから切り離し、独立した規制組織を作ることになっています。
それが「原子力規制委員会」です。委員会は、強い権限を持ち、事故対応を指揮することになります。
メンバーは5人。
ところが、国会の承認が必要なこの人事が難航していてなかなか決まらない。
当然、事務局となる「原子力規制庁」の発足も遅れています。
新たな防災指針や安全基準の作成、40年廃炉ルールの具体化など規制委の仕事は山積みです。
人事がさらに滞れば、規制見直し自体に注文がつき、原発再稼働の判断も延びる恐れがあります。
政局が混沌としていて、何時になったら体制が整い、将来に向かって進んでいけるのか困ったものだと嘆く日々です。

嘆きながらも、この原発問題は、私には、あまりにも大きな問題で、荷が重過ぎます。
大局的な判断ができません。

脱原発を推進した場合、

・国の経済にどのような影響を及ぼすのか、
・国民の生活はどうなるのか、
・再生可能エネルギーへ切り替えるとして、どのくらいの時間が必要なのか、
・莫大な投資はペイするのか

などなどについてはコメントの能力を持ちません。

しかし、唯一つ言えることは、原発を動かすことにより発生する(発生した)核廃棄物=核のごみ問題(用語集④)は避けては通れません。
それにも拘らず、国や電力会社は当初からその対策を棚上げして(目をつぶって)原発推進にまい進しました。

もう一度、「核燃料サイクル」と「核のごみ」問題を整理してみます。

 半世紀以上にわたってわが国は原子力政策の中核として「核燃料サイクル」(用語集②)を推進してきました。
しかし、技術的なトラブルが頻発して実現のメドが立っていません。政府は近々エネルギー戦略を見直す方針で、このサイクル政策も変更を迫られています。
再処理工場や高速増殖炉など基幹的な課題を、下図を参照しながらみていきます。

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・「再処理工場」の相次ぐ延期
青森県六ヶ所村にある日本原燃の再処理工場(図③)。
ここは全国の原発から使用済み核燃料が運び込まれ、プルトニウムなどを再利用するために取り出す施設ですが、試運転でトラブルが相次ぎ、当初完成予定だった1995年から遅れること17年、今もって完成していません。
トラブルの根源は、使用済み核燃料のリサイクルで出る高レベル放射性廃棄物(図4)をガラスで固め、「ガラス固化体」 (用語集⑩) を作るガラス溶鉱炉。
日本原燃は、この7月、メドがついたとしていますが、完成予定の10月までに間に合わせるのは絶望的といわれ、19回目の延期となりそうです。

・使用済み核燃料の貯蔵量は限界
こうした相次ぐトラブルに、”本当に完成できるのか”と危ぶむ声もあります。サイクル政策をどのように見直すか決まるまで、中断すべきだとする案まででています。
しかし、これまでに投じた建設費は2兆2千億円(当初想定の3倍)に膨らみ、仮に中断したとしても、年間1100億円の経費がかかるのだといいます。
この再処理工場が操業できなければ、大きな問題が残ります。
日本原燃は青森県などと98年に、再処理を中止する場合は全国の原発から運び込んだ使用済み核燃料を搬出するという覚書を結んでいます。全国の各原発の使用済み核燃料プールは既に満杯に近いといいます。万一工場から返送されれば貯蔵容量を超え、原発を停止せざるを得なくなるのです。
わが国は、使用済み核燃料の「全量再処理」をサイクル政策の根幹としてきました。
しかし、再処理工場の完成の遅れで計画は狂いっぱなしです。
使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」(図2)や「最終処分施設」(図9)の必要性を置き去りにしてきたツケが今ここにきて露呈しています。
行き場のない使用済み核燃料が原発の最大の弱点になっています。

・「もんじゅ」
 日本原子力研究開発機構の「もんじゅ」(用語集②)は、原発から出る使用済み核燃料再処理(用語集⑤)し、回収したプルトニウムなどを燃料とし、使った以上の燃料を作れるという核燃料サイクルの中核となるものです。
しかし、今、もんじゅの必要性自体に疑念がでています。
1995年8月に発電を始めるも、同年12月に炉心冷却に使うナトリウムが洩れ火災事故が発生。16年間も停止し、これまでの発電日数は約44日しかありません。
高速増殖炉の研究を始めて40年以上経っていますが、実用化のメドは立っていません。2012年度までにもんじゅに投じた予算はおよそ1兆円だといいます。政府の事業仕分けで槍玉に上がり、廃炉を求める声すら上がっています。
立地周辺の活断層問題もあって、再調査をするらしい。結果が出るまで運転の判断は難しい状況です。
本来ならは、高速増殖炉でプルトニウムの利用を進める計画でしたが、もんじゅが停止していて、今後の見通しが立たないため、プルトニウムの増加を解消すべく、軽水炉でプルトニウムを使用する「プルサーマル」(図8) (用語集⑦) を推進しようとしたものの、現在まで「玄海3号機」「伊方3号機」「高浜3号機」「福島第1原発3号機」でわずかに使われただけにとどまっている。福島第1原発3号機は、既に廃炉が決定しています。

・最終処分場
六ヶ所村にある貯蔵施設に保管中の高レベル放射性廃棄物は、冷却期間が終わる40年代後半には持ち出して最終処分場に運び込むことになっています。
最終処分場は候補地の選定後、詳細な地盤調査を経て操業するまでに約30年かかるといわれています。時間的にみれば、もう待ったなしのタイミングです。
計画の進展を阻むのが処分場の場所の選定です。政府は全国の自治体に受け入れの応募を受け付けていますが、いまのところ申し入れはありません。
ただ、今、問題を更に複雑にしているのが、政府が打ち出した核燃料サイクル政策の見直しです。
使用済み核燃料を再処理せずにそのまま埋設処分することになれば、処分技術の開発を最初からやり直さなければならないのです。
高レベル放射性廃棄物と使用済み核燃料とでは物質の性質や放射線の出し方が違うからなのだそうです。
使用済み核燃料の処分を直接処分に切り替えるとするならば、廃棄物の量は3倍以上になるともいわれています。

最近の経済産業省や日本の科学者を代表する日本学術会議などには、使用済み核燃料の処分方法を見直す機運が高まっていると報じられています。
最終処分方法などを定めた核燃料サイクル政策の見直しが決まれば、現行政策を前提に協力してきた地元の反発は確実で、今後の焦点になりそうです。
方針の変更となれば、関連法を改正しなければならないため、経済産業省は改正の準備を始めたらしいです。
一方、日本学術会議では、関係する地元の反発などを踏まえて、廃棄物の最終処分を棚上げし、新たに第3の方式として「暫定保管」を国の原子力委員会に提言する方針のようです。

さて、こうした原子力の負の遺産は、どのようにすれば未来への責任を果たせるのでしょうか。

「地下に埋めるのではなく、人間の手の届く地上で、厳重に管理し続けるべき」との意見があれば、

「地上での保管は問題の先送りに過ぎない。地上より安全な地下に隔離するのが我々の責任だ」との反論もあります。

核のごみを地中深くに埋めることは

「危険の埋め立て」なのでしょうか、

それとも

「安全のための隔離」なのでしょうか。

その答えはみつかりません。
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by m-morio | 2012-09-07 09:36 | 市民カレッジ | Comments(0)