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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

最後の講義

「現代中国を知る」の最終講義がありました。
今回は「経済成長の中の女性達」でした。なぜこのようなテーマになったのか・・・。おそらく主催者からの要請なのだろうと想像しながら・・・。
講師は、北海道大学の教授で、中国・台湾の法律を研究している方でした。中国での生活経験もあり、今でも年間10~20回くらいは中国へ出向いているといいます。
従って、”今”の中国状況についていろいろ聞くことができました。(質疑の時間がかなりありましたので)
講義の内容としては
・政治と女性
 政治の場で女性が占める割合は極めて低く、上位に行けば行くほど女性の比率は下がっている。
その要因は、教育水準が低いなどがあるようです。
・職場と女性
 「都市部」でのことですが、就職難であること。公務員の場合女性55歳で退職する仕組みであったり、企業でも45歳で・・というところも出てきている。市場経済の利益至上主義のもとでは女性の雇用を避ける傾向がある。(出産に伴う負担は企業が負うので)
・家庭と女性 
 DV(ドメスティックバイオレンス)問題が急浮上しているのだとか。これは今まで内在していたものが表面化したのか、他の要因で近年増加したのか判然としないが、このDVは社会問題なのだという認識が強くなっている現われなのだといいます。

更に、「○春」があります。とにかくヒドイんだそうです。教授も中国へ行くたびにホテルを利用しているがあまり高級でないホテルに泊まると頻繁に電話がかかってきたり、ピンクチラシがドアの下から差し入れられていたり・・・。
これに関連して「エイズ」の問題。いま国際社会ではこのエイズ問題に取り組んでいるのはNPOやNGOの人たちですが、中国ではこの種の組織を認められません。
このような団体は 「政治活動化する危険がある」 との考え方(警戒心)から厳しくチェックされるらしい。
かといって官がこの対策に積極的になるということもないという。結果としてエイズが蔓延するという現状にある。

とにかく一党独裁のもとでは「民間活動に対する規制」は厳しいのです。法輪功への圧力に象徴されます。



少し、観客?本位の話題を。。。 
・袖の下・・
数日前の新聞に「クリーン五輪 強調に躍起」という見出しで、北京市の副市長の汚職が取り上げられていました。
この不正が五輪プロジェクト関連らしいので、国際的大イベントのイメージを傷つければ大失態となる・・・と 北京市側は五輪と汚職の関係を否定するのに必死だとか。
古今東西を問わず「汚職」は無くならないのですが、このお国はことさらヒドイようである。
教授によると、中国の役所に認可・許可の類の申請書を出すと、まずいつ処理されるか全く分からないのだそうです。一つの許可を貰うのに幾つもの官庁に足を運ばされ、待たされるのだとか。
そこで”袖の下”が威力を発揮し事がスムーズに運ぶのだそうです。そのお金も馬鹿にならないらしいですが、日常茶飯事のことで市民は慣れっこになっているようです。

・一人っ子政策・・
未だに続いています。文字通り「子どもは一人しか産んではいけません」ということです。ところが、この制度も不思議で複雑です。
まず、民族によって差があり「朝鮮族は2人まで」(確か先日の内モンゴルも同じだったはず)許される。その他55の少数民族にそれぞれの決まりがあるらしいです。
農村部でも原則1人なのですが、第一子が女の子だったらもう一人はOKとなります。
勿論双子の場合もありますからこれを一人だけというわけにはいきません。これを悪用?して年の離れた双子という奇妙なことが起こっているといいます。一人目が生まれても登録せず二人目の誕生に合わせて双子で登録するという手を使うとか。(役人へ「袖の下」で可能なことなのかも・・・)
従って、戸籍のない子どもが沢山います。
前からこの子達は将来どんな扱いを受けるのだろうかと気になっていました。
一例では「アメリカ人などの養子となる」ケースが結構あるらしいです。可笑しなことにここにも「役人」が顔をだし「斡旋」まがいのことをしてお金を手に入れているらしいです。
また、教授によると「大人になったらキチンと戸籍登録するんです」とのことでしたが、果たしてスンナリ役所を通るのか不思議でですが・・・・・。
もっと「戸籍制度」の勉強が進むとこの辺のことも明らかになっていくかもしれません。

余談ですが、中国人が日本で2,3人の子どもを産んで帰国することは全く問題ないのだそうです。
一方、
この政策も都市部ではもう余り意味を成さなくなっているといいます。教授の知り合い(中国の大学の教授連中など)は、”子どもは1人だけ”といっているとか。
その背景には「経済的な理由」があって、都市部ではとても2人以上は育てていけない・・ということらしいです。

5回にわたる講義でさまざまな知識を得ました。視野がマクロ的なになりがちなこともあります。あるいは講師の強い意思にも影響されているかもしれません。
・環境問題・エネルギー問題・格差の問題・市場経済の先行き・学生の就職難・女性の地位のこと・汚職の問題などなどです。
講座に若い中国の留学生と思われる女性が二名参加していました。彼女達の前で中国のことをいろいろと批判めいて論じるのに多少の後ろめたさを感じました。
ただ興味本位で話題にしているわけではありません。振り返って、これらの諸問題が日本においてどのような状況にあるのか・・・と翻ってみるいい機会になったと思っています。

中国の今後を予測するのは私には不可能なことではありますが、今の市場経済の高い成長率が何時までも続くことなど考えられません。
いずれ成長が停滞する時期がきます。「勝ち組」「負け組み」が出ても「負け組み」を救済する仕組み・制度がないため格差が広がっているようです。経済成長がもたらしている公害問題も対策が後手に回っています。日本が過去に辿った道を中国もいま歩んでいます。
識者は、「改革解放の政策が失敗」・・・ということにでもなったときは、大変な混乱が生じる。そのことの国内および世界への影響が”心配だ” といっています。

万一、中国が破綻したとき、わが国はいかなる影響を受けるのでしょうか。
by m-morio | 2006-12-17 10:55 | 中国のこと

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