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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

最後の円借款

人様のために、何かをする、力を貸す、援助するということは人生の中でその大小の差はあれたまには起こる。
ところが、その結果について相手から何の反応も無かったり、曲解されたり、感謝すらされないとしたらその行為も空しい。

◆小さな新聞記事を目にした。        「最後の円借款署名」
要点は
1 最後の対中円借款となる今年度供与分(463億円)の署名を行った。
2 資金の使い道は環境関連の案件
3 中国側は、「中国の改革・開放政策支持の象徴となってきた。経済発展や貿易拡大、日中友好に積極的役割を果たしてきたことを高く評価する」と述べた。
4 円借款は1979年度に始まり、累計額は3兆円を超える。
などというものだ。




◆「円借款」? 「ODA(Official Development Assistance)(政府開発援助)」との関係は? この資金の出所は? どんな条件で貸すの? 資金は目的どおりに使われているの? その監視は誰がどのようにしてやっているの? その結果を国民に公表されているの?

もう、分からないことだらけだ。

「ODAの基礎知識」を読むとおおよそのことは理解できる。
ただ、その借款契約は非公開扱いのため詳細について知る術はないが、今回の供与については次のようなことは分かった。

・対象案件及び供与限度額
(1)甘粛省蘭州市大気環境改善計画 74億円・・大気汚染物を削減し、大気汚染の改善
(2)青海省生態環境整備計画 63億円・・森林・草原の多面的機能の回復、砂漠化の防止(3)新彊ウイグル自治区地方都市環境整備計画(第二期) 38億円・・下水処理能力・上水供給能力の向上、水質汚濁・大気汚染の改善
(4)河南省南陽市環境整備計画 115億円・・同市市内河川へ流入する水質汚染物質の排出量の削減及び大気汚染負担の緩和
(5)湖南省都市廃棄物処理計画 105億円・・同地域で発生する廃棄物の適切な処理の促進
(6)安徽省都市廃棄物処理計画 68億円・・同地域で発生する廃棄物の適切な処理の促進

・貸付条件・・2種類ある
その多くは金利:年0.65%、償還(据置)期間:40年(10年)、調達条件:一般アンタイド
注)「タイド」: ひもつき援助のこと。開発プロジェクトを建設する場合に必要な資材や役務の調達を、援助供与国に限定することを条件に供与される援助のこと。「アンタイド」はそのひもつきがないこと。
一部は、金利:年1.4%、償還(据置)期間:25年(7年)、調達条件:一般アンタイド

◆まあ、こんなことはさて置いて、気になるのは・・・。
その1
資金の使い道はここに列挙した通り運用されているのか。そのチェックはしっかりやっているのか。
その答えは悲観的だ。人手不足で事後評価が適切に行われていない。自分たちで行った案件を自分たちで調べるのだという。
更に、どのような理由からその案件が供与されるのか、ということを知ることが出来ない。公開されない情報が多い。ODAの中身ついての議論の場が国会内にないのだ。
水質汚濁、大気汚染、廃棄物の処理・・・に関し自国ではどの程度の努力をしているのだろうか。
あの工場廃水の垂れ流し、林立する煙突群からもくもくと出る煙、核廃棄物などの不法な(中国では、不法ではないの?)廃棄などなどの映像が瞼から離れないのだが。

その2
先の報道記事で、中国の外相は「日中友好に積極的役割を果たしてきたことを高く評価する」との発言がある。
しかし、その「評価」は“中国国民が”日本に対して抱いている気持ちなのだろうか。とてもそう理解は出来ない。幹部のリップサービスに過ぎないとの印象を持つ。

◆日本のODAでよく批判されるのが、中国へのODAの在り方だ。
「巨額のODAをしているのに、感謝されるどころか、反日運動が起きているではないか」
というもの。
中国の経済発展にともない、中国へのODAは年々減少していた。そして来年の北京五輪までに円借款の供与をやめる、つまり中国を円借款援助国から「卒業」させることが、両国の了解事項となっていた。

問題は、環境問題に対する援助の扱いだ。
周知のように、中国から黄砂が大量に飛散して問題になっているが、これは中国の砂漠化が原因とされている。他にも、中国の環境悪化が、日本にさまざまな影響をもたらしていくと考えられている。  陸地は離れていても、空と海はつながっているのだ。

本来ならば、中国の環境問題に対しては、日本のODAの役割はまだまだ必要なのだろう。
わが国にも降りかかってくる問題なのだから。
反面、資金を出しているのに、一方で軍備力強化をされても困る。
最後の借款が決まったからといって(出し手として)のんびりされても困る。その資金の行く末をしっかり見極めることが肝心だ。つまり援助もするが情報公開などの透明性、計画への参加も求めることが必要だろう。

といってみても、今回で終わりだ。

◆「対中ODAに物申す」という一文がある(「大地の咆哮」・・元上海総領事が見た中国・・杉本信行著)ので一読をお勧めする。
例えば、
「(ODAで建てられた)母子保健センター開所式での非礼」・・・あたかも中国指導者が建てたものだと言わんばかりの扱いに著者は激怒して建物への表示(日本の協力支援を得て建てられたことの表示に)を改めさせた
「円借款に対する中国指導者の認識」・・・「中国は戦争賠償を放棄しているのだから、日本の対中援助は賠償の代わりであり、まだまだ足りない」という意識が根本にある

日本も終戦直後は被支援国であって米国から借款を受けていた。その日本がごく最近までは世界一の出し手となってアジアを中心に行われている支援は一面では結構なことだろう。でもいつまでも「お人よし」で良いのだろうか。  「お金は出すが口も出す」。  人手が足りないから・・・という言い訳で済まされるものでもない。なんと言っても貴重な税金が使われているのだから。。。(郵便貯金や簡易保険の資金も回されてはいるが)
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by m-morio | 2007-12-24 11:11 | 中国のこと | Comments(0)