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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り現代史: ウクライナとロシア ~宿命の対決~

今回は、ロシアと隣接し旧ソ連邦を形成していた「ウクライナ」に焦点をあててみます。
◇ウクライナ という国は
1 位置関係
  地図をご参照
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2 国旗f0020352_10474918.gif
  この旗の意味するところは、上の青は「青空」を意味し、下の黄色は「稔りの小麦」を意味しています。ウクライナは、肥沃な黒土地帯で、旧ソ連の”穀倉”といわれ、小麦、トウモロコシなどの生産地です。


3 人口など
  国の面積は日本の約1.6倍、人口は4,638万人(2007年 世銀)で、ウクライナ人74%、ロシア人22%です。
4 西側とのつながり
1991年ソ連が崩壊した後も、旧ソ連から分離独立した国々(「独立国家共同体」注1 を組織した)や東欧諸国(注2)は、ロシアとの良い関係を暫くの間維持してきていました。しかし、経済体制が社会主義から資本主義へと変わり、西側諸国との関係が深まるにつれて、これらの国々は西側を向くようになりました。
東欧諸国は続々とEU(国際連合注3・・・経済同盟)へ加盟していきました。自国の安全面でも、NATO(北大西洋条約機構・・・軍事同盟)に加盟してしまいます。
こうした状況の中で、東と西の綱引きの場となつたのが「ウクライナ」です。ウクライナは、ソ連崩壊時に独立を果たし、その後も独立国家共同体に加わりロシアとは親密な関係を維持してきたのですが、隣接するポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアが次々とEUに加盟していくに従ってウクライナは自然とEU諸国と国境を接することになりました。
その一方、ウクライナの東側はロシアと国境を接し、この東部にはロシア系住民が多数住んでいます。(図を参照) このためにウクライナは、ヨーロッパを向く西部とロシアを向く東部とに、真二つに分かれてしまいました。
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注)1 独立国家共同体
旧ソ連を構成していた15共和国のうち,バルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)をのぞく,12か国によってつくられている国家連合。英語で,Commonwealth of Independent Statesと書き,略称CIS。独立国家共同体は,共通の中央機関をおかないのが特色であり,加盟国の首脳によって年2回以上開かれる加盟国首脳評議会と,加盟国の政府代表者が参加する加盟国首相評議会を調整機関としている。国連の安全保障理事会の議席はロシア連邦が継承した。
加盟国はロシア連邦・ベラルーシ・ウクライナ・モルドバ・アルメニア・アゼルバイジャン・グルジア・トルクメニスタン・ウズベキスタン・タジキスタン・キルギス・カザフスタンの12か国。なお、グルジアは2008.8脱退している。
注2 東欧
国連の分類によると、ウクライナ、スロバキア、チェコ、ハンガリー、ベラルーシ、ブルガリア、ポーランド、モルドバ、ルーマニア、ロシア
注)3 EU(国際連合) 現加盟国(27カ国) オーストリア、ベルギー、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア(2004年)、ドイツ、 ギリシャ、 フィンランド、 フランス、 ブルガリア、 ハンガリー(2004年)、 アイルランド、 イタリア、 ラトビア(2004年)、 リトアニア(2004年)、 ルーマニア(2007年)、 ルクセンブルク、 マルタ、 ポーランド(2004年)、 ポルトガル、 スロバキア(2004年)、 スロベニア、 スペイン、 スウェーデン、 オランダ、 英国  外務省HPより(国名配列順も)




◇オレンジ革命
こうした状況の中で2004年の大統領選挙では、ロシアとの関係を重要視する与党代表で首相のヤヌコビッチと、ヨーロッパへの帰属を唱える野党代表で前首相(当時)のユーシェンコの激しい一騎打ちとなりました。開票の結果、ヤヌコビッチの当選が発表されましたが、ユーシェンコ陣営から「選挙に不正があった」との抗議があり、米国やEU諸国が後押しをしたこともあって、大統領選挙はやり直しとなり、こんどは、反ロシアの立場のユーシェンコ大統領が誕生しました。ユーシェンコ陣営がオレンジ色を運動のシンボルカラーに使ったため、陣営の行動は「オレンジ革命」と呼ばれました。そしてこの選挙活動中に、ユーシェンコがダイオキシン中毒に罹り一時重篤な状態に陥って話題になりましたね。これ以降、ロシアは何かつつけて、ウクライナに対する嫌がらせをするようになります。
◇ロシアのエネルギー外交
 このところの石油価格の高騰で、産油国のロシアには多額の外資が流入し、ロシアは空前の好景気に沸いています。(今の金融不安直前までですが。この金融不安がロシア経済にどのような影響をもたらすかは注目されるところです。) ソ連崩壊後の沈滞した状態からは完全に脱皮したといえるでしょう。前回の講座の際に触れましたように、これまでロシアは、旧ソ連や東欧諸国には、石油や天然ガスを低価格で供給してきましたが、ロシアから離れていく国々に対しては遠慮することなく市場価格で買うように要求し、交渉が難航すると、石油パイプを閉じるというやり方で値上げをみとめさせています。注)08.10.13の「コソボとグルジア」で引用しました08.10.04付け北海道新聞の記事ご参照)
話は少しずれますが、グルジア紛争はロシア軍がグルジア領から撤退することでひとまず沈静化していますが、エネルギー資源が豊かなカスピ海周辺などの旧ソ連各国に対して、ロシアばかりではなく、米国、EUが外交攻勢をかけ、関係強化へ向けた綱引きがますます激化しています。お互いに資源争奪戦でも一歩も引かない構えです。プーチン首相がウズベキスタンを訪問し、天然ガスを市場価格で買う他、新たなガスパイプラインの建設でも合意したとか報道されています。メドベージェフ大統領の動きも激しいようで、カザフスタンを何度も訪問しているとか、抱き込みに躍起となっているようです。
グルジア紛争で深まったロシアと欧米の対立は長期化しそうです。

◇ウクライナは西側へ? それとも・・・?
2004年に、ユーシェンコ大統領と共闘した盟友のティモシェンコは現在首相の立場にあります。共に、親欧米路線を走ってきましたがここにきてティモシェンコ首相は積極的にロシアと接触を始めています。
 今年12月7日に最高会議(議会)を解散して総選挙を行うことになりました。親欧米路線の大統領とティモシェンコ首相の権力闘争の末の総選挙は、ロシアに対する距離をどう取るかが最大の争点になっています。その結果は、NATOへの早期加盟問題にも影響を与えそうです。元来、両氏は親欧米路線ですが、来年予定されている大統領選挙を巡ってはライバル関係にあり、権力闘争を繰り返しています。
首相は6月下旬のロシアのプーチン首相との会談以降、ロシアと良好な関係を志向し、これが大統領派に「次期大統領選でロシアからの支援を取り付けるために首相は変節した」と攻撃されています。
これに対して、首相は10月2日のプーチン首相との会談で、大統領がグルジアへの武器に不法輸出に関与していたことをほのめかすなど対立は泥沼化しています。
首相のロシアへの傾斜は、親ロシア派の有権者に支持層を広げる狙いとみられていますが、本来の基盤である親欧米派の支持離れを招いているともいわれています。
グルジア紛争でグルジア支援を明確にした大統領はこの時期に議会解散を仕掛け、親欧米路線を全面に打ち出して政局の主導権を握る計算とみられます。
総選挙後でも、首相率いる「ティモシェンコ連合」と大統領率いる「われらのウクライナ」はいずれも単独で政権を握れるかどうかは微妙と観測されています。親ロシア派のヤヌコビッチ前首相が率いる野党が鍵を握るともいわれています。
 金融不安の影響は大きなものがあります。
ウクライナ、ハンガリー、アイスランドの3カ国が国際通貨基金(IMF)への緊急支援要請の検討に入っていることが10月17日明らかになりました。欧米主要国の金融危機が、成長のための資金を外国資本に頼ってきた新興国に燃え広がったようです。
ウクライナでは通貨(フリブナ)の対ドル相場が下落。投資引き揚げの動きに加え、今年に入って貿易赤字が大きく拡大している、といいます。株価は今年に入り、7割以上値下がりしています。  資金繰りに苦しむ金融機関の経営を懸念した国民が預金引き出しに殺到、中央銀行が制限措置を実施しました。政府は「昨年を上回る成長を続けており、経済は健全だ」(ティモシェンコ首相)などと沈静化に必死ですが、混乱が続くことでしょう。
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by m-morio | 2008-10-19 10:57 | 市民カレッジ | Comments(0)