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日々雑感を記録します

カテゴリ:市民カレッジ( 183 )

前回、「廃炉」について整理していく旨触れたところ、先日から、新聞に「廃炉」の特集が連載され始めました。

「受け売り」としては、この記事を道標にすることにして、しばらく様子見です。

いつものように、大それたことを書く予定はありません。

廃炉の手順、廃炉の現状、福島第1原発の廃炉への動きなどです。

少し時間をいただきます。
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by m-morio | 2012-10-18 09:06 | 市民カレッジ
「脱原発」はどこにいってしまったのだろうか。

12.09.14に、野田政権は「革新的エネルギー・環境戦略」で、「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針を示しました。

具体的には

▼原発の運転年数を40年に制限する   
▼原子力規制委員会によって安全確認がされた原発は再稼働していく                     
▼原発の新増設は行わない  
                        
という3原則を打ち出しています。

しかしながら、この戦略の閣議決定を見送ってしまいました。
マスコミは、やれ経済界や電力会社に配慮した、原発所在の自治体に遠慮した、はたまた米国の顔色も窺ったといっています。

さらに、戦略を発表して基本三原則なるものを高々と打ち上げたその翌日には、枝野芸財産業相が青森県の大間原発の工事継続を認めると発言しました。
なんとも矛盾だらけの戦略といわれてもしかたがないありさまです。

国民からの意見聴取会などでも、脱原発を望む声は高かったはずです。
野田政権は本当に国民を失望させてくれます。

一方、自民党はどうだろう。
先の総裁選に名乗りをあげた5人の候補者のうちしっかりと「原発」と向き合った発言をした候補は見当たらなかったように思います。
そもそも脱原発やエネルギー政策の転換はこの党の眼中にないらしい。
「30年代原発稼働ゼロ」の方針は、5人すべてが否定したといいいます。
原発は安全と言い続けて推進してきたのは自民党だったはずです。その自民党が次期政権を担うやもしれないと思うと、空恐ろしい。

政府は、新たな原発の建設は認めない方針で、過日中国電力上関原発の建設を認めないとして、新増設の例外は建設中の原発のみとする方針を明らかにしました。
しかし、政府が建設計画を止める法的根拠は無いため、電力会社が建設前の原発の着工を断念する気配はありません。
現在、新増設が計画されている原発は12基で、着工前の原発は9基あります。しかも、これらの計画を持つ電力会社は「不退転の決意で推進したい」と反発しています。

背景には政府が計画を具体的に止める手段がないこと、また原発の設置許可や工事計画の認可権限は9月に発足した原子力規制委員会に移行しています。規制委は、「政策的にどうするかは判断しないことを貫く」と安全面のみを審査する構えで、9基の新増設を認める余地も残っています。
また、革新的エネルギー環境戦略の閣議決定が見送られたことから、電力会社は原発ゼロに慎重な自民党への政権交代が実現すれば、政府が建設容認に転じるとの期待があるとも報道されています。

さらに、原子力規制委員会の扱いも不思議です。
本来、その人事は国会の承認を必要とするものですが、政権維持に必死な総理は、承認を得ることなく、総理の権限で委員を決定しました。いずれ国会の承認を取り付けなければならないのですが、法の細則などを適用して先延ばしする気配です。
これでは選出された委員は堪ったものでありません。二階に上がったはいいが、いつ梯子を外されるかわからない不安定な立場です。
その規制委員会は、動き出した途端に政府との見解の相違を露呈しました。
「原発の再稼働は誰が判断するのか」で真っ向から対立しているのです。
「今後、20年くらい原発を重要電源として活用しなければ、経済、社会は成り立たない」・・と枝野経済産業相は、原発の再稼働の必要性を強調しました。
その再稼働認める最終判断を誰がするのかという肝心の手続きが不透明です。

原発再稼働「判断」をめぐる見解:
政府:
 安全性について規制委からゴーサインが出て、地元自治体の了解が得られれば、重要電源として活用するのが政府の方針(枝野経産相)
規制委が認めたものは再稼働していくべきものというのが政府の姿勢(藤村官房長官)

原子力規制委員会:
 科学技術的な判断はわれわれがやるが、再稼働には社会的、政治的判断も伴う。規制委が安全性を認めた原発について、動かすかどうか判断するのは政府だ。再稼働をお願いするつもりは一切ない。

・・・といった具合です。(12.10.03現在)

一事が万事 こんな調子ですから、今後事態がどのように進むか全くわかりません。
ましてや、政権が交代した場合にはこの混乱にさらに拍車がかかるのかもしれません。

そこで、このblogでは、政治がらみのことは少し横に置いて、「核のごみ」問題に続いて、最後の「廃炉」について整理していきたいと考えています。
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by m-morio | 2012-10-11 14:15 | 市民カレッジ
毎日、世界中で原子力発電所から出される大量の核廃棄物が、それぞれの国で暫定的な集積所に蓄えられています。                                                            その集積所は自然災害、人災などを受けやすいため、地層処分(用語集⑨)という方法が検討されています。諸外国の多くはこの核廃棄物を直接処分する方法をとっていますが、わが国はそれらを再処理する核燃料サイクル(用語集②)を推し進めようとしています。いや、推し進めてきました。 
フィンランドのオルキルオトでは、固い岩を削って作られる地下都市のような巨大システム=世界初の核廃棄物の永久地層処分場の建設が進められていることは前回触れました。

でも、私は、

「人間が10万年後の物事に責任を持って対処するのは不可能なのではないだろうか」
と思っているのですが。如何でしょうか。

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by m-morio | 2012-09-07 09:36 | 市民カレッジ
原子力発電関連用語集
この用語集は、適宜修正・追加する予定です。 最終補正・修正日:12.10.20
目次
①原子力発電
②高速増殖炉もんじゅ
③MOXとは
④核のごみ
⑤使用済み核燃料の再処理
⑥高レベル放射性廃棄物
⑦プルサーマル
⑧プルトニウム
⑨地層処分
⑩ガラス固化体
⑪再処理工場
⑫使用済み核燃料プール
⑬廃炉
⑭再生可能エネルギー
⑮エネルギー・環境戦略
⑯中間貯蔵施設
⑰大間原発
⑱原子力規制委員会
⑲安全評価(ストレステスト)
⑳バックフイット制度
21 フルMOX

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

①「原子力発電」
原発では核分裂を起こしやすいウラン235を燃料に使う。人為的に起こした核分裂と、同時に自然発生する核崩壊のエネルギーを蒸気として取り出している。
燃料は全体を金属で覆った被膜管に充填する。燃料から発生する熱エネルギーで被膜管の外部を循環する水から水蒸気を作り、タービンで発電する。被膜管は水中にあることが必須である。
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②「高速増殖炉もんじゅ」
 通常の原発(軽水炉)で使うウラン燃料のうち、核分裂して熱を発するウラン235は数%しかない。
残りのほとんどは核分裂しにくいウラン238で、これに高速で中性子を当て、核分裂するプルトニウムに変えようとするのが「高速増殖炉」。
理論上は消費した以上のプルトニウムを生産(増殖)するとされる。
もんじゅは、技術的な問題を検証するための「原型炉」と位置づけられる。
軽水炉は原子炉の冷却や熱の伝達に水を使うが、水は中性子の飛び交うスピードを減速させる。
高速増殖炉は、中性子を高速に保つため、減速作用の小さいナトリウムを使う。
 核分裂の熱を利用し、タービンを回して発電する点では、軽水炉と高速増殖炉は同じ。
軽水炉では、原子炉の中を循環する水(蒸気)で直接タービンを回す「沸騰水型」と、別に隔離された水に熱を伝えて発電する「加圧水型」に分けられる。
高速増殖炉は加圧水型に似ているが、さらに複雑な構造。
水に触れると激しく反応するナトリウムの特性を考慮した安全策のため。
高速増殖炉では、軽水炉の使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使う。核燃料を有効に利用するこの仕組みを核燃料サイクルと呼び、原子力政策の根幹としてきた。
しかし、高速増殖炉の開発の遅れから、国はMOX燃料を軽水炉で使う「プルサーマル計画」を目指し、泊原発3号機などでの導入を予定したが3.11の事故の後、計画は凍結されている。
青森県六ヶ所村の再処理工場も、トラブル続きで運転開始のめどが立っていない。核燃料サイクルを実現できても、再処理によって「核のごみ」高レベル放射性廃棄物が出るのは避けられず、処分場の建設地は決まっていない。
 高速増殖炉の開発は4段階で計画され、常陽は第1段階の「実験炉」、次のもんじゅは「原型炉」。
国は2025年をめどに実用化に向けて経済性を探る「実証炉」、50年までに「実用炉」の建設を目指したが、3.11後の原子力政策の見直しで、計画は不透明。

12.09.14の「エネルギー・環境戦略」によれば、原案にあった廃炉方針も最終的には修正され、将来像があいまいになった。新戦略で、もんじゅは①高速増殖炉開発の成果のとりまとめ②放射性紀伊器物の減量研究・・・などを行うとした。成果を確認し「研究を終了する」としているが、将来的に存続するかどうかは明確にしていない。原案では「政策転換を図る」と明記し、実質的に廃炉にする方針だった。

         
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③「MOXとは」
日本は、非核保有国では唯一の大型の商業用際処理工場を運転しようとしている。
青森県の六ヶ所村の六ヶ所再処理工場。
2012年10月商業運転開始予定のこの工場は、年間約8tのプルトニウムを分解する能力を持つ。
「8kgが行方不明になれば、核兵器が一発作られている可能性があると思え」とするIAEAの規定に従えば1000発分。
これに対して、同工場では核兵器の材料になるプルトニウムを単体で取り出さないから「核拡散抵抗性」が高いとの主張がよくされる。
同工場では、一度、工場内でウラン溶液とプルトニウム溶液の流れに分けた後、ウラン溶液の一部をプルトニウム溶液と1対1の割合で混ぜ、これを混合脱硝して、混合酸化物(MOX)粉末を作る。
普通の再処理工場とは違い、製品が二酸化プルトニウムではないから、核兵器への転用につながりにくいというのが、この主張の意味だ。

再処理工場に隣接して建設中のMOX燃料工場では、このMOXにさらに劣化ウラン(ウラン238)を加えて普通の発電用原子炉「軽水炉」で使う「MOX燃料」を製造する計画だ。
再処理工場の製品としてMOXを製造するこの混合処理方式は、1977年に始まる米国との交渉の結果採用されたものだ。紆余曲折を経て、日本側が米国の要求を呑み「核拡散抵抗性」の高い方式が採用されたことになっている。

④「核のごみ」
本稿では、下記の「使用済み核燃料」と「高レベル放射性廃液(廃棄物)」を総称して呼ぶことにする。
原発で燃やしたあとのウラン燃料を「使用済み核燃料」と呼ぶ。
炉内で燃やすうちに生成されたプルトニウムを含む。
政府は青森県六ヶ所村の再処理工場で化学処理してプルトニウムを抽出する方針だ。
ただし、再処理工場は、全国の原発から1年間に発生する量の最大でも8割しか処理することができない。
もっとも、その再処理工場は未だ稼動していない。
再処理で最終的に残る「高レベル放射性廃液(廃棄物)」は、ガラスで固めて地下深くに埋める予定だが、その候補地選びは難航している。

⑤「使用済み核燃料の再処理」
 原発から出た使用済み核燃料から、燃え残りのウランと、核反応で新たにできたプルトニウムを回収する技術。
使用済み核燃料を再び発電に使い、核燃料原料のウランを有効利用する「核燃料サイクル」の要となる。
電力各社は1966年以降、英仏に計7100トンの使用済み燃料の再処理を委託。日本原燃は青森県六ヶ所村の再処理工場で年間800トンの使用済み核燃料の再処理を計画しており、稼動すれば、国内初の本格的な再処理施設となる。
ただ、廃液をガラスで固めて処理する試験のトラブルなどで、当初97年の完成が大幅に送れ、2012年10月の完成予定も困難となっている。

⑥「高レベル放射性廃棄物」
 使用済み核燃料を再処理し、燃料として再利用するウランやプルトニウムを取り出した後に放射性がきわめて強い廃液=“核のごみ”。数万年以上、人間の生活環境から隔離する必要がある。青森県六ヶ所村の日本原燃の施設で、廃液をガラスに溶け込ませて固めるが、実用化のめどは立っていない。
六ヶ所村の貯蔵施設で30~50年間冷却した後、地価300mより深い安定した地層に最終処分する方針。
使用済み核燃料はすでにガラス固化体に換算して約2万4千本分が国内で発生している。
最終処分地は書類審査にあたる「文献調査」、ボーリング調査を行う「概要調査」、実際に坑道を掘る「精密調査」の3段階を経て選ぶが、文献調査の候補地さえ決まっていない。
原子力委員会の諮問を受けた日本学術会議は9月、地震や火山活動の活発な日本で数万年先の安全性を予測するのは困難との見解をまとめている。(12.10.07)

⑦「プルサーマル」
「核燃料サイクル」は、最終的には取り出したプルトニウムを高速増殖炉で繰り返し使うことを目指しているが、高速増殖炉ではなく、一般の原発にウランとともに使う方式を「プルサーマル」と呼んでいる。
具体的には、原発の使用済みウラン燃料から取り出したプルトニウムを、ウランと混ぜてMOX燃料に加工し、再び原発で使う発電方式。
夢の原子炉と期待された高速増殖炉は、その計画が頓挫している。
国や電力会社は高速増殖炉の実用化までの「つなぎ」としてプルサーマル計画を立てていたが、プルトニウムを減らすためにプルサーマルを進めざるを得ないのが現状。
既に、九州電力玄海原発3号機、四国電力伊方原発3号機、関西電力高浜原発3号機、東京電力福島第1原発3号機で実施されたが、各原発は現在運転停止中であり、福島の3号機は廃炉が決定している。
北海道電力も泊原発でMOX燃料使用を計画したが、福島の事故以降計画は中断している。
なお、MOX燃料の安全性については、電力会社は「ウラン燃料と大きな違いはない」と説明しているが、ウラン燃料だけの時に比べ核分裂を加減する制御棒の利きが低下することなどから、事故時の危険性が高いとの指摘もある。

⑧「プルトニウム」
原子炉で燃料のウランが中性子を吸収してできる放射性物質。
再処理工場で使用済み燃料から抽出し、ウランと同様に原発の燃料に使えるほか、核兵器の材料になる。
長崎に投下された原爆はプルトニウム、広島はウランが使われた。
核兵器に転用しにくいようプルトニウムと核分裂しないウランを混ぜた状態で抽出する。
ただし、青森県六ヶ所村にある再処理工場はトラブル続きで稼動していない。
注)国内外で保有するプルトニウムは30.1トン(2010年末時点)。内訳は、国内が6.7トン、英国とフランス(使用済み燃料の再処理を委託)に保管中が23.4トン。
2010年末時点では、2年連続で減少した。その要因は、09年11月に九州電力玄海原発3号機、10年に福島第1原発3号機、関西電力高浜3号機(福井県)、四国電力伊方3号機(愛媛県)で始まったプルサーマルで、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が使われたことや高速増殖炉もんじゅと六ヶ所村の再処理工場のトラブルもあってプルトニウムは増えなかった。(11.09.21道新)

⑨「地層処分」
 放射性廃棄物を地中深く埋める処分方法。日本では2000年の法律で地下300m.以深に埋めると決まった。処分技術の研究は、宗谷管内幌延町にある地下研究施設「深地層研究センター」などで行なわれている。

                            廃棄物の地層処分図
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⑩「ガラス固化体」
 高レベル放射性廃棄物の廃液を保管。
処分し易いようにガラス原料と一緒に高温で溶かし、ステンレス容器の中で冷やし固めたもの。
製造直後は、人間が近づくと20秒で死ぬほど高い放射線と高熱を発する。
地下へ埋める前に30~50年地上で冷却する。

⑪「再処理工場」
使用済み核燃料からウランやプルトニウムを回収する施設。
電力会社が出資した日本原燃が青森県六ヶ所村で運営する。
年間処理量は800トン。高レベル放射性廃棄物の廃液をガラスと混ぜて溶かし込むガラス固化体の製造工程で目詰まりが相次ぎ、稼働のめどが立っていない。
施設に併設した3千トン分の燃料貯蔵プールは98年から全国の原発の使用済み核燃料を受け入れ、今年(2012)3月時点でプール容量の97%が埋まっている。2006年から実際の使用済み核燃料を用いた稼働試験を行い、内部が放射能で汚染されたため、施設の廃止には原発の廃炉と同様の長い時間と巨額の費用がかかる。(12.10.09)


⑫「使用済み核燃料プール」
 原子炉で使い終わったウラン燃料を冷却するプール。
使用済み核燃料は核分裂反応を終えても熱を放出し続けるため、核燃料再処理施設へ運び出すまでの間、循環させた水で冷やし続ける。
猛毒のプルトニウムのほか、強い放射線を出す核分裂生成物を含み、厳重な管理が必要。
プールは原子炉建屋内にあり、水温は通常40度以下に保たれている。
この使用済み燃料は3~5年冷却し、その後、核燃料サイクルに用いるために再処理工場に
移送されることになる。
新燃料や、原子炉の点検中は使用途中の燃料も保管される。
プールの大きさは原子炉によって少し違う。深さが10m以上、水だけなら1000トン以上
入れることができる。核燃料は、直系1㎝ほどの小さな円筒形のベレットに固められてい
て、これを長さ4mほどのジルコニウム合金でできた燃料被膜管の中にいくつも詰め、燃
料棒にする。
例えば、福島第1原発の場合、1号機のプールには燃料棒が292本、2号機には587本、3
号機には514本、4号機には1331本、5号機には946本、6号機には876本入っている。
震災ではプールの冷却機能が失われ、温度が上昇、水蒸気とみられる白煙が上がった。
水が減り続けるとメルトダウンにつながる恐れがある。
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⑬「廃炉」
 耐用年数を経過したり事故で使えなくなったりした原発を解体・撤去するほか、封じ込
める措置をとること。
解体・撤去では使用済み核燃料を取り出した後に5~10年、放射線量が下がるのを待ち着
手する。原子炉を閉鎖し環境監視する「密閉管理」や遮蔽壁で閉じ込める「遮蔽隔離」も
ある。日本初の商業炉の廃炉は1998年に運転を終えた日本原子力発電の東海原発(茨城県)。
浜岡原発1、2号機(静岡県)も廃炉が決定。研究炉では新型転換炉原型炉ふげん(福井県)
が2003年に運転を終了。解体作業を進めている。

12.09.14発表の「エネルギー・環境戦略」で「2030年代の原発ゼロ」を掲げたが、当面は「運転40年廃炉制」で脱原発を段階的に進め、可能なら廃炉ペースを前倒しする方針にとどめたのが実情。
建設中の大間原発などの運転が認められれば、原発ゼロは50年代に先送りとなる可能性すらある。

⑭「再生可能エネルギー」
石油や天然ガスなどを燃やす火力発電やウランを燃料とする原発と異なり、資源が枯渇せず、繰り返して使うことができる太陽光、風力、水力、地熱などのエネルギー。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量が極めて少ない。ただ、発電コストは火力や原子力よりも高い場合が多い。
政府は太陽光や風力などでつくった電気の全量を、電力会社に買い取らせる制度を2012年7月にスタートさせ、普及を後押ししている。

⑮「エネルギー・環境戦略」
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▼政府は12.09.14に「革新的エネルギー・環境戦略」(新戦略)を決定した。将来の「原発ゼロ」を打ち出した点では一歩前進と言える。その反面、ゼロが達成されるまでは、原発の再稼働を推進できる道を開いた。
政府が当初目指した2030年時点での原発依存度「15%」に近い内容になっており、脱原発の具体的な道筋は見えない。
矛盾や実現性の危うさを抱える内容。
さらに、19日には、閣議決定で「2030年代に原発ゼロ」とするエネルギー・環境戦略を「参考文書」としての扱いにとどめ、閣議決定を実質的に見送った。
「自治体や国際社会との議論」を通じて戦略を柔軟に見直すとした基本方針のみ閣議決定し、原発ゼロを含めたエネルギー政策に見直しの余地を持たせた。
注)  一般的に閣議決定された政策は、政権が変わっても内容を覆す新たな閣議゛決定をしない限り拘束力を持つ。  今回のような「戦略を踏まえて」という表現で「原発ゼロ」の方針がどれほどの拘束力を持つのか、政府は説明を避けた。

⑯「中間貯蔵施設」
「使用済み核燃料中間貯蔵施設」(リサイクル燃料備蓄センター)のことで、原発で使い終わった燃料を再び燃料として使用できるように再処理するまでの間、貯蔵しておく施設。
 原子力発電の使用済み燃料を貯蔵する施設は、現在、各原発のプールと再処理工場にある。
原発内の施設で貯蔵し、冷却した後、再処理工場に運ばれるのが、この間の流れだったが、1999年6月に原子炉等規制法が改正され「中間貯蔵」が認められ、原発から出てきた使用済み燃料を再処理するまでの間保管することが可能になった。
経過
2005年10月に青森県むつ市、東京電力(株)及び日本原子力発電(株)との間で「使用済燃料中間貯蔵施設に関する協定」を締結。
2005年11月、東京電力(株)と日本原子力発電(株)の両社により「リサイクル燃料貯蔵(株)」をむつ市に設立。
2007年3月、リサイクル燃料貯蔵(株)は国に事業許可申請書を提出し、2010年5月に経済産業大臣により許可され、2010年8月に貯蔵建屋等の建設に着工し、工事が進められたが、2011年3月11日に発生した地震以降、建設工事を中止。
その後、2012年1月、事業開始時期を2012年7月から2013年10月に変更し、2012年3月、貯蔵建屋工事を再開。
東京電力と日本原子力発電の原発から出る使用済み核燃料のうち、六ヶ所村の再処理工場の処理能力を超える分を再処理までの間、最長50年間保管する計画。

ただし、核燃料サイクルが実施されることを前提としている。

⑰大間原発 
電源開発(Jパワー)が2008年5月に着工した。青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で製造されたプルトニウムと、ウランの混合酸化物(MOX)燃料を受け入れ、「プルサーマル」発電を行うことになっている。MOX燃料の100%使用を想定した世界初の商業炉で、出力は、国内最大級の1383千kw。年間1.1トンのプルトニウムを利用できる。プルトニウムを減らす「焼却炉」としても位置付けられている。
工事の進捗率は38%。工事に必要な調達済み部材などを考慮するとその進捗率はほぼ50%ともいわれている。
政府は9月(2012)に決定した「革新的エネルギー・環境戦略」で、青森県で行っている使用済み核燃料の再処理事業は、地元に配慮して当面継続する方針を示した。
電源開発は、これを受けて、10月1日、建設を中断していた工事を1年7か月ぶりに再開した。(建設再開に国の認可は必要ない。)
大間原発が完成すると、「40年廃炉」を適用しても、2050年代まで原発が稼働することになる。
「30年代の原発ゼロ」を目指すとした政府方針は早くも揺らぎ始めた。
安全性について
電源開発は、福島第1原発事故を踏まえ、過酷事故時の対策拠点となる免震重要棟の建設や原子炉内から放射性物質の飛散を防ぐフィルター付きベントなど23項目の追加安全対策が終わるまでは稼働しないと説明している。
また、原子力規制委員会も、最新の安全設備がないと原発を運転させない「バックフィット制度」を適用し、厳しく安全を審査するとしている。(2012.10.03)

⑱原子力規制委員会
19日に「原子力規制委員会」が成立した。
 ・なぜ新たな組織が必要か
 福島第1原発事故では、原子力行政の推進と規制の区分があいまいで安全規制の「無責任状態」に問題があったとされた。
このため、規制部門を経済産業省などから分離し、独立した新たな規制組織を作ることにした。
 ・どんな仕事をするのか
 原子力規制に関する全般。
これまでは内閣府の原子力安全委員会が原発の安全審査基準を定め、経済産業省の 原子力・安全保安院が原発の立ち入り調査などを行い、文部科学省が放射線量の調査を行ってきた。
これらの業務を規制委員に集める。
 ・組織は
 委員会は原子力の専門家など5人で構成。その下に事務局の「原子力規制庁」を置き、実際の調査などを行う。
環境省の外局だが、政府からの独立性を高めるため、国家行政組織法上の「3条委員会」にした。
「3条委員会」は、予算の決定や行政処分まで下す強い権限がある。
委員の任命は国会の同意が必要。 ただし、9月19日(2012年)に発足した委員会のメンバーは、国会の承認を得ず、野田総理の判断で決定した。 (委員の選定に、民主党内でも異論があり、党内分裂を危惧したうえでの判断らしい。) 次の国会で承認を得なければならない。
 ・19日の原子力規制委員会会見のポイント
 ①優先課題
  ・福島第1原発の廃炉作業を安全に進める
  ・福島県内の住民の低線量被ばくへの対応
  ・原子力施設の防災体制確立
 ②原発の再稼働
  ・防災体制、基準づくりが大前提
  ・野田政権の再稼働暫定基準には不備がある
  ・ストレステストでは十分に判断できない
 ③原発の40年廃炉
  ・40年前の設計は必ずしも十分でない
  ・40年を超えた原発の運転は相当困難になる
 ④使用済み核燃料核燃料の保管
  ・プール貯蔵ではなく乾式貯蔵をするべきだ
(120920)

⑲安全評価(ストレステスト)
 原発の安全性を確認するための机上検査。
電力会社が主体となり、原子炉の冷却ポンプなど原発の重要設備が、耐震安全性評価で想定する地震や津波の何倍まで耐得られるかをコンピュウター解析する。
政府は原子炉ごとに調べる第1次評価の実施を再稼働の条件とし、北電泊原発1、2号機など9社30基分が提出されている。発電所全体を対象にする2字評価は福島事故のように燃料溶解などの過酷事故への対応策を確認しやすい長所があるが、現時点で提出例はない。(120921)

⑳バックフイット制度
 福島第1原発の事故の教訓を踏まえて法律を改正した制度の一つ。
発電所の電源の多重、多様化や原子炉格納容器の排気システムの改善など、最新の技術的知見を技術基準に取り入れて、すでに運転をしている原子力発電所にも、この最新基準への適合を義務づけた。
最新基準を満たさない場合には、運転停止(廃炉)を命じることができる。
さらに、こうした規制強化をしたうえで、原子力発電所を運転できる期間を原則40年にすることも法律に明記された。
これまでの原子力発電所の安全規制は、主に事故の発生防止を目的としたもので、過酷な事故(シビアアクシデント)が起こった場合の人や環境への影響を防ぐ取り組み(アクシデントマネジメント)は、事業者の自主的な取り組みに任されていた。
今後は、このアクシデントマネジメントも規制の対象となる。(120921)

21 フルMOX
 原発の使用済み核燃料から回収したプルトニウムをウランに混ぜて作る混合酸化物(MOX)燃料を原発の全炉心で燃やす方式。
ウラン燃料と一緒にMOX燃料を燃やす「プルサーマル発電」より、核兵器の減量にもなるプルトニウムを多く消費できる。
電源開発が青森県大間町に建設しようとしている大間原発は世界初の商業炉で、国は核燃料サイクル政策の重要施設に位置付けているが、安全性に疑問の声もある。
大間原発は08年に着工、東日本大震災で工事が一時中断していたが、(2012)10月に再開。
9月末までの進捗率は38%。
ただ、原子力規制委員会は「本当にやるのがいいかどうか、かなり慎重に考えるべき」との意見。(121020)

 
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by m-morio | 2012-09-04 14:26 | 市民カレッジ
今春、ちえりあ(生涯学習センター)で、映画『100,000年後の安全』 を観ました。フィンランドの「オンカロ」を取り上げた作品です。f0020352_13425820.jpg

このオンカロについては、既に本ブログでも紹介しましたのでここを参考にしてください。

 世界でただ一箇所、核廃棄物を地下に埋設し、放射能が無力化する10万年後まで保管しようという遠大な計画で建設中なのがオンカロ。

「監督のマイケル・マドセン自らが、建設が進行中のオンカロ施設に潜入し、このプロジェクトの実行を決定した専門家たちに、未来の子孫の安全性について問いかける」という形式で映画は進められる。

保管・処分は、
宇宙に運んではどうか・・・・・打ち上げに失敗した場合のリスクは大きい
海底ならどうか・・・・・・・・・・・侵食によってどのような変化が起こるか、極めて不安
よって「地下」なのだ
という議論から始まる。

この施設は、2020年に完成し、その後100年間にわたって核廃棄物を搬入し、その後全施設を封鎖し、全てを埋設し10万年間自己完結的に保存(放置?)されることになっているという。
オンカロの外観:
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関係者の中には、その埋設した施設の上に、森林が再生され、多くの子どもたちがそこで生活している姿を想像(期待)している発言すらあった。

後世の人間が、その施設を宝物の宝庫と勘違いして掘り返す心配はないのか・・・・・
人間はきわめて好奇心の強い生き物だから、その可能性はある。

では、近づくな! 危険だ! 掘り返すな  ! 核廃棄物だ! との意志・意図を伝える看板を作ってはどうか・・・
いや、5万年や6万年後であっても、今地球上で使われる言語が、その時代に通じるか分からない! 

図で示すか?髑髏マーク、放射能マーク 
何を書いてもその意図が通じるという保障はない。

結局は、“何も分からない” 10万年後のことなどは。。。
よって、オンカロは安全な設備・・・・・とは断定できない設備なのだ。

ここで考えなければならない。
オンカロに核廃棄物を埋めたことで問題は解決されるのだろうか。             
今、現世の我々だけが一時的に安全だと勘違いしているに過ぎないのではないだろうか。
そもそも、オンカロは誰のために作られているのだろうか。
未来の子孫のためだろうか。
今生きる人間のために作られた施設なのでは?。 

原子力発電のアキレス腱と言われた核廃棄物の処理が、これで解決したぞということを見せるために作られようとしているとしたらとんでもない勘違い。
怖いのは 「放射能」で、かつ「人間」なのかもしれない。
やっかいな核のごみの処分問題に迫り、誰にも保障できない10万年後の安全、放射性廃棄物の埋蔵をめぐって未来の地球の安全を問いかけるドキュメンタリーだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 わが国に振り返ってみると、そもそも核廃棄物処理の目処も立たないまま原発を作った時点で、倫理観が欠如していたのではないのか。
今、内閣が1年持たない状況だ。核廃棄物のように超長期的にわたる課題を進んで解決しようという首相は現れない。
10万年後には人類が絶滅しているから、10万年後のことは考えなくて良いということにはならない。
むしろ、10万年後も人類は続いているという前提に立って現世代の責任を考えるべきではなかろうか。
自分たちの繁栄、安泰のために、未来の安全と健康を犠牲にしてよいものではない。



原発の推進か、脱原発か・・・・不十分でも、そろそろ方向付けを示すべき時期にきている。
「核燃料サイクル」は本当に破綻するのか、「核のごみ」問題はどう処理されようとしているのか・・・・

難題が山積である。

次回以降整理していくことにします。
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by m-morio | 2012-08-22 13:45 | 市民カレッジ
本稿での「原発」に関する書き込みは昨年10月を最後に途絶えていました。
少し時間に余裕ができましたので、続けていきます。
 
 わが国の原発の数は、最近まで54基といわれてきたが、福島第1原発の4基の廃炉が決まってからは50基とマスコミは伝えている。
既に運転を停止したのが3基、もんじゅは試運転を中断中、青森県では2基建設中(工事は中断しているが)である。
5月には、これらの原発の全てが稼動を停止した。
しかし、脱原発が声高に叫ばれるのを聞こえていて聞こえぬ振りをしているのか、それとも安全にそれほど自信を持っているのか、暫定の安全基準を御旗にとうとう大飯原発の再稼動を強行した。(3、4号基とも営業運転を開始した。)
福島の4基が重大な事故を起こすに至った正確な経緯は未だ明らかにされていない。
即ち、メルトダウンに至った原因は特定されていない。 そもそも原子炉に近づけないのだから究明には限界があるというのだが。。。。

それでも、国と東電は、事故の原因は「津波」であるとして、既存の原発の安全は問題ないという。
新たに安全対策を担う原子力規制委員会(注1)の人選ですらふらふらし、新たな安全基準も、安全に責任を持つ機関もないまま首相は原発の安全に「私が責任を持つ」と豪語する。
自分が今おかれている状況をどのように認識しているのだろう。
来年はおろかあと数ヶ月の在任かもしれないのにどのような責任の取り方を描いているのだろうか。
ユーロの崩壊と世界恐慌の瀬戸際に立たされているいま、国の明日を左右する政治のあまりにも軽さに、日本沈没も近いのかと憂う。

注1)福島第1原発事故で、原子力行政の推進と規制の区分があいまいで安全規則の「無責任状態」に問題があったとされた。このため、規制部門を経済産業省などから切り離し、独立した規制組織を作ることにした。
委員会は原子力の専門家など5人で構成する。
その下に事務局の「原子力規制庁」を置き、実際の調査などを行なう。
その「原子力規制庁」は4月に設置する予定だったが、まだ目処が立っていない。

ところで
原発の数の表示で迷っています。「機」なのか「基」なのか。
例えば、日経の記事をみると
「日本には運転から40年超がたち、高経年化した原発も3ある。日本原子力発電敦賀原発1号、東京電力福島第1原発1号、関西電力美浜原発1号機だ。米国に8、英国に4あるが、フランスとドイツには1もない。」
といった具合だ。
どう理解したらいいのだろう。
この写真の説明では、泊原発「3号機」となっている。(日経ではないが)
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「機」は、原子炉を表し、「基」は、周辺設備を含めた表示なのだろうか?
どなたか ご教示 を お願いします。
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by m-morio | 2012-08-18 15:09 | 市民カレッジ
f0020352_1215191.png 7月に開講された現代史の講座で、 「ロシア近隣諸国・・・ソ連崩壊後20年」 を統一テーマとして、
「プーチンのロシア」、「ヤヌコビッチのウクライナ」、「サーカシビリのグルジア」、「カリーモフのウズベキスタ」
が採り上げられました。
ソ連崩壊後、隣接する諸民族が独立を果たし、それぞれの道を歩み始めました。
資源に依存して成長してきたロシア経済にも陰りが見えてきています。
プーチンのロシアの今後はどうなるのか、そして近隣の諸国はロシアとどのように付き合おうとしているのか。現状とこれからの展望を学びました。

 本稿では、その全てを網羅することはできませんが、「グルジア」は、1991年のソ連崩壊後も、民族紛争や民主化革命など、世界の注目を集める問題を惹起し、特に2008年に再燃した「南オセチア紛争」はまだ記憶に新しく、ロシアによる力の外交に世界が注目し、反発もしました。
後、南オセチアはロシアの後ろ盾を得て独立を宣言するも、それを承認しているのはロシアのみに過ぎません。

そんな「グルジア」の歴史を辿ってみることにします。

f0020352_11235675.jpg

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1 グルジアという国
1)位置
グルジアは、黒海とカスピ海に挟まれたカフカス(コーカサス)山脈の南側から黒海沿岸に広がる。
カフカス山脈を挟んで北側はロシアと接し、東南部はアゼルバイジャンと、南部はトルコ、アルメニアと国境を接している。
古来より多くの民族が行き交う交通の要衝で、幾度も他民族の支配を受ける。
温暖な気候から、ワイン生産が盛ん。

2)概況
・1991年4月9日にソ連から独立宣言。
・「グルジア」はロシア語に由来し、英語名は「ジョージア」(Georgia)
・面積・・・・・日本の約五分の一
・人口・・・・・435万人
(南オセチアとアブハジアを含む)注)人口を捉えるときに、この両地域を含めるか否かが問われることがある。本稿では、これらの地域がグルジアの実効支配が及ばないとはいえ、ロシアが承認した「独立」を世界が認めていない現実を考慮し、総人口に両地域を含めた計数を採用した。出所:「世界国勢図会」(矢野恒太記念会 編集・発行 2011/12版)
・首都・・・・・トビリシ
・民族・・・・・グルジア系(83.8%)
・言語・・・・・公用語はグルジア語
・宗教・・・・・主としてキリスト教(グルジア正教)
・内政・・・・・2003年のバラ革命を経て、サーカシビリ氏が大統領就任。
2007年11月、大統領と議会の選挙実施時期を巡って政府と野党側が対立、非常事態令を出す事態までに発展。
2008年1月の繰上げ大統領選挙で、サーカシビリ大統領が再選。
国内に、アブハジア、南オセチアの分離主義地域を抱え、両地域には中央政府の実効支配が及んでいない。
・外交・・・・・政権は、親欧米路線を明確に打ち出している。
また、NATO加盟を目指しており、トルコ・アゼルバイジャンとの地域協力にも熱心で、筋金入りの反ロシアを指向。
ロシアとは、アブハジア、南オセチア問題、グルジアのNATO加盟に向けた動き等を背景に緊張感が続いていた。
2008年8月、グルジア軍と南オセチア軍の軍事衝突にロシアが介入したことで、両国間の緊張は武力紛争に発展。EU等の仲介により停戦したものの、その後、ロシアが南オセチアおよびアブハジアの独立を一方的に承認。ロシアとの外交関係は現在も断絶したままである。
・対ロシア歴史観
カフカスの有力民族でありながら19世紀にロシア帝国に併合され、ロシア革命後に独立宣言するも、赤 軍(ソ連の正規軍)の侵攻でソ連に加盟。ロシアを「侵略者」と見なしている。ソ連崩壊後は元ソ連外相のシュワルナゼ氏が指導者としてロシアと距離を置く外交を進めた。
・経済・・・・・主要産業は、茶・柑橘類・たばこ・ぶどう栽培を中心とする農業および畜産業、紅茶・ワインを 中心とする食品加工業など。旧ソ連解体後、一時経済は混乱したが、徐々に安定成長を遂げる。2006年3月に主要貿易国であるロシアがグルジアの主要輸出品であるミネラルウオーターやワインの禁輸措置を取ったとで、関連産業が深刻な打撃を受けたが、その後徐々に販路開拓に成功している。
2008年8月のロシアとの武力衝突およびその後の世界経済危機はグルジア経済に深刻な打撃を及ぼ したが、2010年には6.4%の成長率を達成するまで回復した。
  
・なお、ソ連の支配者スターリンと80年代の外相シュワルナゼ(後にグルジアに招かれ、国家評議会議長 を経て大統領に就任)はともにグルジア人であった。

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by m-morio | 2012-08-15 12:14 | 市民カレッジ
今年度の2回目の読書会は、先生が海外へ旅をしたことでお休みとなっていたので6月に開かれた。
久しぶりに一同に会した席では、先生の旅行談に花が咲き、読書のほうは流れた形になった。
アゼルバイジャン・アルメニア・グルジア、そして黒海を渡ってウクライナへ行き、トルコを経由して帰国するというおよそ1ヵ月の行程だったようだ。

3回目の席上でメンバーの中にイラン旅行から帰ってきた人がいた。
ご存知のとおり、イランはペルシャ人中心の国で、イスラム教信者が多く、政治も政教一致の国。

旅行してきたかたがたが口をそろえて言うには「(イランでは)お酒は飲めない」「そもそも売っていない」という。そこで、本題と少し離れるが、お酒の話を。
イランのお酒の話を聞きながら、うーん・・・。そうだったかなぁ・・と考え込んでしまう。
何かの本でパーティを開いている話を読んだ記憶がよみがえる。
しかし、その本を思い出さないので沈黙を守った。

帰宅後、見つけました。

春日孝之著 「イランはこれからどうなるのか」・・・イスラム大国の真実・・・。
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著者は、毎日新聞の編集委員で、テヘラン支局勤務のときに体験したことをもとにまとめられている。

本書の第1章は「現代イランの生活をのぞく」。

その中の一部を拾い読みします・・・・・・と。

まず、2005年10月、テヘランの特派員として赴任。
アフマディネジャド大統領の新政権が発足したばかりの時期だった。
着任早々、イラン人のジャーナリストに誘われてあるホームパーティに顔を出す。
広々としたリビングに、おしゃれした男女が十数人歓談していた。
室内には西洋音楽が流れ、モダンなリビングには”洋酒”を並べた飾り棚があり、ソファの側には、ビールやワイン、ウイスキーなどさまざまなアルコール類が用意されていた。
「飲み物は何にします?」と声を掛けられ、アルコールが飲めない著者はジュースを所望すると、 
「あら、日本人はアルコールがないと生きていけないじゃないの? イラン人もそうだとうもうけど」
と冗談を返された。

イランには、バーもなければ、ディスコもない。ロックなどの西洋音楽や飲酒は禁止されている。

しかし、週末になると多くの人たちが「当局の目」にふれない自宅でホームパーティに興じている。
夕食後、室内の照明が落とされ、リビングはディスコに様変わりした。         
ステレオのスピーカーから西洋やイランのポップスが大音響で響く。

著者によれば、アフマディネジャド政権誕生後、イスラム革命後「密かに」続いていたホームパーティは、もはや当局も黙認しているようだという。

そうはいっても、パーティはイランの「裏の顔」。
建前を使い分ける性向が、ますます増幅されると警鐘を鳴らす声もあるという。

いずれにせよ、アルコールに関しては、どこのホームパーティでも供されるわけではないにしろ、密輸モノがいろいろなルートを通じて、さほど高くない値段で、比較的簡単に手に入るらしい。
食料品店にはノン・アルコール・ビールが並んでいるという。

「イランではお酒は売っていない」というのは、ぽっと出かけた観光客の視線では当然のことだろう。

しかし、本書の記載を見る限り「裏の顔」があるのもまた事実のようだ。

著者が体験したことが、今でも続いているとしたら。。。。。ですが。
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by m-morio | 2012-07-22 16:12 | 市民カレッジ
今年はオリンピックの年である。
5月10日にはギリシャのオリンピア遺跡で聖火採火式が執り行なわれた。

そのギリシャが今ほど世界の話題の渦中に晒されたことは過去になかったのではなかろうか。

ギリシャは今、揺れに揺れていてその動向によっては世界中の経済に甚大な影響を及ぼしかねないところまで事態は深刻である。

ギリシャといえば、その歴史は古く・・・・・・と考えがちであるが、歴史は200年にも満たない。
ギリシャという国が成立したのは、19世紀の初め(1930年)になってから。f0020352_19275424.jpg

その前を遡っても「ギリシャ」と呼ばれる一定の国土をもつ政治的な単位が存在したことがない。
古代ギリシャは、ポリスと呼ばれる都市国家が並立する世界だった。
今日のギリシャにあたる地域はオスマン帝国の領土となり、この帝国から独立を果たすことで誕生した国家なのである。

1821年、オスマン帝国に対する反乱が企てられ、各地の都市で蜂起し、ギリシャ独立戦争へと発展するが、ここに英・仏・露が介入し、結果として独立を果たすことになる。
建国以来、ギリシャの政治はこれらヨーロッパの大国に翻弄されてきた。

第二次世界大戦後は、アメリカの強い影響下に置かれた。                
ギリシャが、東地中海という、大国の利害関係が衝突する、地政学的に重要な地域に位置したためである。
また、ギリシャの国家財政は、独立以来、外国からの借金に大きく依存し、経済の面でも、大国の出方に大きく左右された。
ギリシャは、独立国家でありながら、なかなか自立の道を歩むことができなかったのである。
今日のギリシャも、まさに同じような状況に置かれている。

EUとIMFが厳しい監視の目を光らせている。
もちろん、現在のギリシャが直面している経済的な苦境は、ギリシャ自身が招いたものである。
歴代の政府は、政治や経済、社会の近代化のための構造改革を、うまく進めることができなかった。
過去の政策に、民衆に迎合しようとする面があったことは、否定できない。 
そのために、借金を重ねた。
今日の経済危機をめぐっては、その場しのぎの政策を続けた政府だけでなく、そのような政府を選んできたギリシャ国民も、重い責任を負わなくてはならないのだろう。

2009年、ギリシャの財政赤字の規模が莫大で、しかも政府が数字を誤魔化していた疑惑が発覚、信用不安に火がついた。
EUの加盟国は、ユーロの信頼性を保つために財政赤字や国の借金を一定の規模に抑える義務がある。
ところがギリシャの2009年の財政赤字は、この基準の4倍以上である事が判明した。

本当に借金を返せるのか、ユーロは大丈夫なのか不安が広がったのである。
以後、足掛け3年にわたってEU、IMFによる救済策が検討され、その一部は実行に移された。

5月6日、財政危機が明るみに出て初めての選挙が、ギリシャで実施された。                    
この選挙では、財政緊縮策と構造改革プログラムの実行を、ギリシャ国民が支持するかどうかが問われた。
ギリシャ国民の大多数は、ギリシャがユーロ圏に留まることを望んでいた・・・
と伝えられていた。                          

暫定政府が国民に支持されたのか?
そうは簡単にはいかなかった。
暫定政府を構成していた二大政党は過半数を獲得できなかった。
その理由は、過去30年の政治こそが、今日の危機を招いたことが明らかだったからである。

長年、交代で政治を支配し続け、今回の危機を招いた2つの連立与党への強い不信感が影響している。
連立与党側は、緊縮策を緩和するEUとの再交渉カードをちらつかせて他の5つの政党に協力を要請するも受け入れた党はない。
他の党も与党の不人気で躍進しただけで、緊縮政反対という点以外有効な対案がある訳ではない。

大統領は、各政党へ組閣の調整に乗り出すも、ことごとく失敗に終わり、とうとう来月17日に再選挙を実施することになってしまった。

EUなどによる未実行の融資を実施するための条件を履行するには、既に時間的に不可能とも言われだした。

再選挙までに破綻するのではないかとさえ囁かれ、国内では銀行の取り付け(預金払い出し)が始まっているともいう。

フランスでは、オランド大統領が誕生した。
EUの緊縮策一辺倒の方針に変化が生じる可能性もある。
オランド大統領の最初の訪問国はドイツだった。
メルケル首相と“握手”はすれども具体策もなく、再燃した危機を封じ込めるための協議は先送りされた。

最新の情報では、
EUは、「ギリシャの財政再建策を見直すのは不可能だ」と、再選挙に向けて勢いづく緊縮反対派に警告を発したという。

また、同国がEUおよびユーロ圏に留まりたいなら、「自ら結果を出す必要がある」とも呼びかけている。
国民一人一人の判断がどのような結果をもたらすか、よく考えて投票するよう促したのである。

重ねて、「ギリシャは、ユーロ圏と約束した再建策を断行する以外に道はない」と強調している。
緊縮反対派が勝利すれば、ギリシャには、これまでよりも過酷な将来が待っていると警鐘を鳴らしている。

ギリシャに端を発したユーロ危機は、今後どのような展開をみせるか。
また、ギリシャ国民は自国の責任をどのようなかたちでとろうとするのか。。。。

ヨーロッパは 今 試練 に晒されている。
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by m-morio | 2012-05-17 19:30 | 市民カレッジ
イスラームを学ぶに先立って、若干の基礎知識を。。。 

▼本書の「はじめに」
「濃紺の夜空に、金色の糸で、ぬいとったような新月が、その最初の光を、ひとすじ、ひそやかに放つ。
新しい月の到来。」
・・・・・なかなか詩的な表現で本書ははじまる。

はじめに・まえがき・序など、表現は異なっても、多くの書籍にこのような書き出しがあって、著者の意図や狙いなどがまとめられている。
だから、私も“はじめに”は必ず、しっかりと読むことにしている。

▼本書では、まず、日常生活と密接な関係を持つイスラーム暦について触れている。
イスラム暦は、太陰暦。太陰月を基に作った暦。
月が朔(さく・・新月)から次の朔に、または望(ぼう・・満月)から次の望に至るに要する時間(29日12時44分2秒8)を基に作られた暦だという。
1年は354日で、太陽暦より11日短い。さらに一日の始まりが日没からはじまり、月の始まりはきちんと新月がでるのを確認して始まる。

では、新月とはどんな状態なのか、誰が何処で確認するのか・・・・・との疑問がだされたのですが、
今ひとつ明快な結論に至りませんでした。

天文学などという代物にはとんと縁の無い私が、正正しくお伝えすることは難しいのですが、
書籍などによると・・・・・・・・・
新月というのは、形の上でいえば、月が姿を隠した状態から、かすかに月の輪郭がまた現れてくるのを観測するらしい。
天文学でいう新月の後の「初見の月」の意味だという。
もっと日本的に表現すると、大体「二日月」と呼ばれる頃の月と考えればよろしいようです。

「初見の月」はどこで、誰が観測するのか。
「どこで」・・・・・
結論からいうと、「それぞれの場所で行なう」ということらしい。
大体は国などの一つの行政区画ごとでまとめているようだ。
「誰が」・・・・・その地域を統括するイスラームの権威当局が任命した新月実視委員がおこなうようだ。
見えそうな場所に何人か派遣して月を探し、複数人が確認したときを「新月の初見」とするらしい。
ついでに、
「曇天の場合にはどうなる?」・・・・・
曇天で月が見えない場合でも条件は同じ。今日見えなければ明日ということになる。
ただ、いつまでも伸びるかというとそんなこともない。国中が曇りというようなことはそうそう起こらないのだ。
また、実際に見えなくとも計算された日から二日以上ずれる場合はその日から月が始まるなどの運用も行なわれているらしい。

物事をキチンと決めたがる日本人にはなかなかすっきりしない事の決め方なのですが、隅々まで突き詰める必要も無いように思います。

イスラム圏の国々でも、イスラム暦とは別の日常の暦を持つ国は多くあるようです。
ただし、ラマダーン(断食月)の始まりや終わりといった宗教的な意味を持つ日取りの決定には今も、「初見の月」という現実の観測が重視されているようです。

なお、新月を国旗に描いている国も少なくない。
パキスタン、リビア、アゼルバイジャン(下図の順序)など。
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▼ムスリム社会
著者は、イスラームを意識しながら生活している人たちの社会を「ムスリム社会」と定義している。
そして、現実としては、意図に反してなかなかイスラーム的生活ができない人々もいる。
また、西欧社会で教育を受けた人々もいる。
そのような人々も全て含めて考えていくという。
現実に生きている社会のなかに、イスラーム原理がどのように存在しているのか。
そのなかに生きている小さな個人個人の生き様を、明らかにしていくことが本書の目指すところだと記している。
▼世界の宗教人口
 最も多いのは、「キリスト教」22.8億人(33.0%)、次いで「イスラム教」15.5億人(22.5%)
となっている。(世界国勢図会2011年版より)
また、イスラームの分布状況の概要を把握するのに下図を参照。
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この地図は、イスラーム諸国会議機構加盟国を表したものです。
この機構は、イスラム世界の連帯強化と聖都であるエルサレムの奪回を目的に1971年に設立された組織で、イスラム諸国56カ国とパレスチナ開放機構(PLO)が加盟している。(「イスラームの世界地図」 21世紀研究会編 文春新書 より)

▼アラビア語
アラビア語は、ムスリムにとって、神の啓示がくだされた言葉として特別の価値を持っている。
よって、クルアーン(コーラン)の翻訳は禁止されている。
各国語に訳されているものは、すべて“解釈”ということになっているのだそうだ。

全世界のムスリムは
「アッサラーム・アライクム(あなたに平安を)」
とアラビア語であいさつを交わす。

これから、会でもこの言葉を唱和しましょうか・・・・という講師から冗談? が飛び出しました。

個人的には、ご勘弁を!! です。

もろもろの意味合いから。。。。。。
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by m-morio | 2012-05-03 13:03 | 市民カレッジ