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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

新年に思う・・気になる「数字」・2

▼40
 東日本大震災と併せて起こった福島第1原発事故は放射能の恐怖をまざまざと見せ付けている。
何度も触れているように、人間の英知を結集しても制御できないものに手を染め続けることの是非を考えている。
勿論、世間にはさまざまな意見があることは承知である。
世界の英知を結集しても対処できない(現状では、しっかりとした見通しが立たない)ことに「廃炉」の問題がある。
福島第1原発の廃炉は決まっている。

机上での工程表はできたのだが。。。

□「廃炉」
廃炉とは、運転をやめた原発を安全に処分することである。
原子炉や発電機などを解体撤去し、放射能廃棄物を安全に保管、廃棄する。
正式には、「廃止措置」といわれ法律で手続きが決められているのだという。
世界では、約100基の原発が営業運転を終え、約10基(米国やドイツ)が廃炉を終えているらしい。
海外では建屋を廃棄物保管施設などに利用した例もあるが、わが国では、更地化を目指す。
国内では日本原子力研究開発機構の動力試験炉「JPDR」が1996年に廃炉を完了した。
商業炉では、東海原発(日本原子力発電)(茨城県)が国内初となる解体作業を10年前から進めていて更地になるのは10年後の予定とのこと。
その他に新型転換炉「ふげん」(研究炉)も解体中である。
また、廃炉を予定しているのは、浜岡原発1、2号機(中部電力)と今回の福島第1原発1~4号機(東京電力)である。
通常の廃炉は1基500億円以上の費用と15年以上の時間がかかるとされている。
あくまでも”通常”の場合である。
福島には該当しない。
事故を起こした原発だ。

□廃炉の流れ
基本は「洗う」「待つ」「解体」の三つのステップを踏む。
①運転停止
②使用済み核燃料を取り出し、化学薬品で原子炉や配管の放射性物質を取り除く
③「待つ」
  原子炉はすぐに解体せず、周辺に残る放射能が弱まるまで10年ほど待つ
  「ごみ」が出る。
  1基の廃炉で53万トン以上のごみが出て、うち1万トン以上が放射性廃棄物(経済産業省の試算)で、
  汚染度に応じて最深100mの土中に埋める。
  この埋める場所が確保されておらず、大きな問題。

□福島第1原発の廃炉・・・写真は事故前のもの新年に思う・・気になる「数字」・2_f0020352_10474738.jpg
政府と東電は、昨年末に廃炉に向けた工程表を明らかにした。
通常の原発と同じように最終的には建屋を解体し更地にすることを目指す。
しかし、通常の寿命がきた原発とは違う。事故を起こした原発である。
法律で定められた手順どおりには行かないだろうし、時間もかかることが予想される。

炉心溶融(メルトダウン)した原子炉は核燃料が溶け落ちており、その回収方法も決まっていない。
前例のない原発の廃炉であり、回収の技術もなく、東電では「世界の英知を結集する」という。

工程表ができても技術が伴わない。格納容器内を確認・修理する作業用ロボットもこれから開発していかねばならない。現状では、作業現場の放射線量が高く、人が近づけない場所も多いからだ。

前代未聞の工事は一から始めなければならない課題が山積していて、工事・作業が難航するのは必至だ。
さらに、通常の廃炉では1基当り数百億円かかる費用も、1~4号機で1兆1千億円以上が必要とされる。
工程は3段階に分けられ、廃炉完了には最長40年を要するとみられている。

40年にも及ぶ廃炉作業に、民間企業である東電が耐えられるのだろうか。
政府と東電が背負った課題は重い。

さて、「40年」である。
とてつもなく長い時間だ。新幹線札幌延伸が24年で、あまりにも先の話で行く先など見通せる話でなかったが、その上をいく「40年」だ。
こうなると、この廃炉を見届けることができる世代は、辛うじて孫の世代となってしまうのである。
by m-morio | 2012-01-04 10:49 | 日々雑感

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