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はじめのいっぽ

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日々雑感を記録します

受け売り 現代史 : スーダン

北海道新聞の07.06.19付け電子版から・・
           「不安定な国」ランキング・・・スーダンに次ぎイラク2位・・・ 
【ワシントン18日共同】米外交誌「フォーリン・ポリシー」(電子版)が18日公表した世界の「不安定な国」リストで、内紛と人道危機を抱えるスーダンが最悪に、自爆テロなどによる治安悪化が続くイラクが2位にランキングされた。  同じく治安不安定なアフガニスタンも8位にランクされており、米軍侵攻で旧体制が崩壊したイラク、アフガン両国で、新たな「国づくり」が容易に進まない現状が浮き彫りになった。北朝鮮は13位だった。  ロイター通信によると、イラクは前年は4位だったが、この1年間で社会、経済、政治など各分野の指標で数値が悪化。特に「治安組織」や「外部からの侵入」の項目で各国中最悪になった。  
ダルフール地方での住民虐殺などで強い批判を受けるスーダンは「人権」の項目が悪く、2年連続ワースト1だった。  同誌はイラクやアフガンについて「例え数百万ドル(数億円)の援助を得ても、きちんと機能する政府や信頼に足る指導者、現実的な経済計画がなければ、うまく立ち行かない」と指摘。


このスーダンにおける 「内紛」 と 「人道危機」 とはどのようなことを指しているのでしょうか。この辺りがこの講座の入り口のようです。

まず、例によって地図で「スーダン」の場所を確認しておきましょう。
受け売り 現代史 : スーダン_f0020352_19284780.gifエジプトの南側に位置するアフリカで最大の面積を持つ国で、北部地方は乾燥した砂漠・半砂漠の土地で、南部地方は湿潤なサバンナ(熱帯草原)です。民族としては北部がアラブ系民族で、主にイスラム教徒です。一方、南部はアフリカ系民族でキリスト教と土着宗教を信仰しています。
◆スーダンの内戦
 アラブ・イスラム系の北部と黒人・非イスラム系の南部に色分けされるスーダンは、1956年に北部主導で独立しましたが、南部には以前から強い自治要求があり独立前から反乱が起こっていました。
独立後の58年のクーデターで成立した軍事政権がイスラム化政策を強力に推し進めると、南部の自治運動は分離運動へと発展し、64年に軍事政権から文民政権へ変わったのちも武装組織のゲリラ闘争が続きました。
その後、曲折を経て南部の自治権を承認する形で内戦は終結しました。
ところが、83年にイスラム原理主義勢力の圧力でスーダン政府は南部の分割やイスラム法の全国施行を強行して内戦が再発しました。
南部のスーダン人民解放軍との長期の戦闘が続いています。この間に、住民投票による南部への自治権付与に向けた和平合意が成立しましたが未だ実現していません。
02年以降、アメリカの調停などで和平へのプロセスが進展しています。05年には、「スーダン包括和平協定」が締結され内戦に終止符が打たれました。

しかし、この間、03年2月に西部ダルフール地方で黒人系の反政府勢力の武装闘争が起こり、政府側に立つアラブ系民兵が黒人系住民を虐殺する事件が続発し犠牲者は数万人、難民・避難民は数百万人に達しています。
04年7月には、国連安保理は、民兵の武装解除、その指導者の拘束、処罰等を求める決議を採択しましたが、情勢は混沌としています。

◆ダルフールの闘争
それではダルフール地方の紛争とはどのような事態なのでしょうか。
83年に内戦が再発したスーダンでは、南部の黒人解放勢力「スーダン人民解放軍」と政府との和平交渉が継続中の03年2月に、西部のダルフール地方で「スーダン解放軍」、「正義平等運動」など黒人主体の反政府組織が武装闘争を開始ししました。

一方、政府側に立つアラブ系民兵組織(ジャンジヤウィード)は黒人住民(主にイスラム系)に対する無差別虐殺、略奪、追放などの大規模な迫害行動に出ました。
06年前半までで黒人住民の死者は20万人とも30万人ともいわれ、隣国チャド、ケニアなど周辺7カ国へ逃れた難民は55万人、国内避難民は300万人ないし400万人とされています。
国際社会には、「大量虐殺」に発展することを懸念する声が高まり、国連安保理は経済制裁警告などの決議を採択、平和維持部隊の派遣を決めてはいますがダルフール紛争は収束の兆しを見せていません。

さて、このような内戦や闘争が勃発し対立が半世紀にもわたって収束をみないのにはどのような背景があるのでしょうか。それらを列強による統治と宗教の側面から考えてみなければなりませんが例によって長くなりますので この辺で。。。

◆お仕舞に、余談ですが・・・
この講座では毎回アンケート調査を行っています。受講者の感想やら要望を書いてもらう形式のものです。質問に対しては、講師が次回講座の始めに簡単にコメントをします。2時間という限られた時間ですから、この質問への回答にあまり時間が取れません。講師が熱心ですから往々にして長くなりがちですが。。。

そんな感想の中にときどき「この講座は“自分で調べれば分かる程度の内容”」という感想(苦情?)を書く人がいるようです。これには私は驚きなんですよ。
この講座の趣旨を良く理解せずに参加されている方なのだろうなぁ。
春と秋にそれぞれ1ヶ月間、4回、週ごとにテーマを変える構成になっています。一つのテーマを1ヶ月間(4回)で講義するのとは大違いなのです。
その人は、世界の紛争などは調べれば分かるのだから、もっと「紛争の生々しい現状を・・・」期待したらしい。 講師が「紛争」の現地に出かけて取材できるわけがなかろうに。。。
あえて言うならば、「歴史」を学ぼうとするなら(歴史に限りませんが)、大抵のことは「自分で調べれば分かること」と言うことになります。
講師からヒントを得て勉強のキッカケを掴めれば・・・それで良しとしていますが。。。私は。
by m-morio | 2007-07-01 19:46 | 市民カレッジ

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